木津未来会議の日記
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| 2009年12月22日(火) |
意見書全会一致にいたるまで |
食品表示制度の改正を求めて、国へ意見書をあげてくださいとの請願その後です。
9日に開催された産業建設委員会での審査結果は 全員一致で採択すべきものというものでした。 私が委員会で行った趣旨説明は、以下です。長文ですが、請願者の思いをお聞きしつつ、作成したものです。
紹介議員を代表して趣旨説明をします。お手元に配布されている請願は、請願者は木津川市兜台在住の○○さんで京都エルコープの運営委員会委員長をされています。京都エルコープとは設立17年目の生協で自分たちの暮らしの問題は、自分たちで解決していこうと、組合員の活動を大切にしてきた生協です。今回、請願自体がはじめてということで、緊張しながら議員の皆様にお話を聞いていただくため、連絡をされたとお聞きしています。 さて、この請願内容は、項目3点を明記したものを国へ意見書としてあげてほしいという内容のものでありまして、意見書案は2枚目に添付されています。
それでは、内容を説明させていただきます。 皆様の記憶にも新しいと思いますが、産地偽装の雪印牛肉偽装事件(2001年)ミートホープによる牛肉ミンチ事件販売していた事件(2007年) 「赤福餅」「白い恋人」などの消費期限や賞味期限偽装 事件、 三笠フーズなどによる事故米を食用に偽装して転売していた事件(2008年9月)たけのこ・塩わかめ・うなぎの原産地偽造事件などなど、食の安全・安心を揺るがす事故や事件が次々と起きています。そのたびに消費者である私たちは何を信じていいのかと不安になったものです。
私たちは買い物をするとき、食品の値段も気になりますが、どこで造られたものか、何が入っているのかなど食品表示に目をやりますね。この食品表示を消費者の立場にたったものにしてほしいというのが1点目の項目です。
例えば、マグロの刺身には、原産国名や養殖か解凍などの生産方法の表示が義務付けられています。しかしマグロにイカの刺身を加えた2品の刺身盛り合わせとなると、これは加工食品となって、表示の必要がないとされてしまっているのです。
(また2006年に加工食品の原料原産地表示を義務化する品目数が拡大されましたが、)また牛肉のたたきは原料原産地表示が義務づけられていますが、ローストビーフになるとしなくていいとなっているのです。
なぜこのようなことになるのか、それは1次加工か2次加工かというものですが、。消費者感覚からかけ離れているというのが加工食品表示の現状です。
そこで、消費者にとって選択の基準になる、わかりやすい食品表示をしてほしいとして、加工食品に原料のトレーサビリティ、すなわち産地や生産方法などその履歴と原料原産地表示を義務付けていうのが1点目の項目です。
2点目は、遺伝子組みかえ制度に関してです。 大豆やとうもろこしなど遺伝子組み換え作物がはじめて日本に来たのが96年秋。それ以来私たちの食卓にはたくさんの遺伝子組み換え食品があがっていると思いますが、表示が義務づけられているのは32品目に限られており、もっとも多く使われていると思われる醤油・大豆油・なたね油・コーンフレーク・砂糖などにはそれが義務づけられていないのです。
EUでは、遺伝子組み換え表示の義務化がすべての食品におよんでいます。日本で作られている醤油も国内用は遺伝子組み換え表示がされていないですが、EU向けには表示しているといわれています。すなわち、制度が義務づけらると、表示が可能な1例であります。
3点目は、クローン家畜由来食品の表示を義務化することです。 狂牛病は大きくニュースでとりあげられましたし、クローン牛ドリーの誕生も大きな論争になったことは、皆様にも記憶があると思いますが、その後このクローン由来の食品は私たちの口に入っていると思われますか。
そもそもクローン牛とはなんなのでしょうか。クローンには、受精卵クロー技術と体細胞クローン技術とあり、前者は受精卵を用いて同じ兄弟を数十頭誕生させる技術であり、4頭の親牛が存在するもので効率が悪いため現在ではほとんど行われていませんが。後者の体細胞クローンは大変難しい技術でありましたが、96年にドリーとして始めて誕生したのです。これは生殖を経ないで片方の親のみの遺伝的だけで誕生する親子を作りだすものです。
しかしながら、、農水省の発表によると、体細胞クローン牛は昨年9月末までに557頭が誕生していますが、死産が78頭や生後直後24時間以内の死亡91頭、病死136頭、育成中はわずかに82頭です。やっと誕生しても、死産・直後の死亡が多く、病気で若いうちに死んでしまうということが明らかになっています。
さて、このようなクローン牛の実態のなか、表示はというと、日本食品安全委員会は、今年の9月に体細胞クローン由来の食品の安全性について、問題などとしています。しかしながら、先に述べたクローン牛の異常の多発については科学的な解明がされていないのです。受精卵クローンは、由来商品が消費品化され、わずかでありますが市場への流通はされているようです。
しかしながら表示がされていないため、そうとは知らずに食べ初めてしまっている状況にあります。これまでとまったく異なる生まれ方をしているということを表示し、情報提供をされなければ、消費者は知らないままに口にしていくことになります。
誰が作り、何でできて、どのように作ったのかが、見える商品を買いたい「見える」ことを保証するのが表示制度であります。身の回りにいろんな食材や加工食品があふれ、簡単に手に入るときだからこそ、食の安全・安心、ひいては日本の食料自給率の向上を目指す意味においても、今こそ、消費者の立場にたった食品表示を求めて、国への意見書をあげていただきたい、その思いです。
請願者は、初めての署名活動をされる中で、一人ひとりに声をかけ、今の現状をうったえられてきました。そして「表示の実態がわかった」とか「表示義務はされていると思っていたけど違ったのね」とか「表示義務がされても、家計をやりくりするためには安いものを買うかもしれないけど、表示してあることがまず大切ね」などなど、食卓をあずかる女性たちの生の声を聞かれています。
消費者庁のできた今だからこそ、今後各省庁との協議がされるに際して、生の消費者の声をぜひとも国へ届けていただきたい、その思いをお伝えして紹介議員としての趣旨説明とします。
趣旨説明の後、いただいた質問は、一つ。トレーサびりティの意味を問われたものでした。
その後、採決。全員一致で賛成となり、それを受け、用意していた国への意見書案について、私から説明をしました。結果これを委員会として議会に提案することに。議会においても全員一致で可決したという経緯です。
この請願に、会員としても紹介議員としても関わってきました。請願者は、議員への説明や依頼をしていく中で、いろんな場面に遭遇したと語ってくれました。「党に確認しなくては返事できない」、「国の政権も変わり、今する必要はないのではないか」との意見や、「無所属議員(私のことです)には、紹介議員をお願いしなくてもいい」とまでも。
初めての経験でいろいろな場面に遭遇されたことで、今まで議会だよりを読むだけにとどまっていたけれど、行動することで今までと違う角度で議会を見たともいわれていました。 これからは、議会に少し関心を持てそうですと付け加えていただき、主体的に関わることから、実感された貴重な意見をいただきました。
請願者の皆様 本当にご苦労様でした。
木津未来会議

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