ジッド「狭き門」読み終わった。 アリサは私が一番嫌いとする女だ。 道徳を武装した恐ろしき聖女。 人は幸福のために作られていないと信ずるアリサ 幸福論のアランは、この作品をどう読んだのだろう。 荷風の短編にも、狂信的な女の冷たい接吻のくだりがある。 彼女の接吻は、血がかよってない、熱のない接吻。
解説にニーチェを絡めた面白い文章がある。
ジッドのニーチェの論説中に、
「彼(ニーチェ)は殉教者をに以って否認する。
感激だげか新たになり、病気がこれを援ける。少しも平静がない 彼は絶えず憤怒と熱情を漲らせる。 プロタンティスムはここに達すべきだったのか 私はそう信じる それ故に私は彼を讃美する 全き解脱に達した人として」
ジッドがニーチェの中に湧き上がるのをみたこの力は、 孤独の闇に消えていくアリサの胸の置くにも潜んでいたのでは あるまいか。 それの、彼女の場合において、内へ内へと燃え入る炎となったのである
ジッドはなお 「私はニーチェが自ら狂人となったといいたい」と書いている。
ニーチェとからめると面白い。
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