りえるの日記

2008年05月20日(火) アリサとニーチェ

ジッド「狭き門」読み終わった。
アリサは私が一番嫌いとする女だ。
道徳を武装した恐ろしき聖女。
人は幸福のために作られていないと信ずるアリサ
幸福論のアランは、この作品をどう読んだのだろう。
荷風の短編にも、狂信的な女の冷たい接吻のくだりがある。
彼女の接吻は、血がかよってない、熱のない接吻。

解説にニーチェを絡めた面白い文章がある。

ジッドのニーチェの論説中に、

「彼(ニーチェ)は殉教者をに以って否認する。

感激だげか新たになり、病気がこれを援ける。少しも平静がない
彼は絶えず憤怒と熱情を漲らせる。
プロタンティスムはここに達すべきだったのか
私はそう信じる
それ故に私は彼を讃美する
全き解脱に達した人として」

ジッドがニーチェの中に湧き上がるのをみたこの力は、
孤独の闇に消えていくアリサの胸の置くにも潜んでいたのでは
あるまいか。
それの、彼女の場合において、内へ内へと燃え入る炎となったのである

ジッドはなお
「私はニーチェが自ら狂人となったといいたい」と書いている。

ニーチェとからめると面白い。


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