三島「近代能楽集」の「卒塔婆小町」を読む。
これは面白い。 泉鏡花を思い出させる不可思議な世界。 こういう作品は好き。 この舞台化は見たい。 能とギリシア古典劇は似ていると解説に書いてある。 どちらも未開拓分野なので、読んでみると 面白いかも。
醜い老婆は詩人に言う。
「私を美しいと云った男はみんな死んじまった。 私を美しいという男は、みんなきっと死ぬんだ」
詩人は深草少将を演じながら老婆の話を聞く。 すると夜の公園は、明治時代の鹿鳴館の美しい庭に変わり、 舞踏会のために着飾った男女が現れる。
醜い老婆はかつての美しい小町となって、 詩人は美しさに魅了される。 九十九夜、九十九年の魔力に包まれて・・・
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