そよ風


2005年02月11日(金) 勘違い

ちょっと昔の話ですが、
今でも、時々思い出して笑ってしまう、私と義母との会話です。

某宅配便の事務所でアルバイトをしていた頃のこと。
定年後、会社から依頼された義父が、管理していた職場でした。

朝、義父から、「ハイ、おばあちゃんから」と言って、キュウリを渡されました。
畑で採れたばかりのデカキュウリが、五、六本、入った袋です。

せっかくの義母から貰った採れたて新鮮野菜、
なのに私は事務所の机に置いたまま、忘れて帰ってきてしまったのです。
車で三十分か四十分の事務所、わざわざ取りに戻るのもちょっと面倒でした。

まあ、いいや、明日も行くのだから、と思っていた矢先に、
義母から電話がかかってきました。

「あんた、まだキュウリ、もらってないんやろ」 なんだか深刻な口調。

(大げさやなあー キュウリごときで・・・)

「あっ、今朝、貰ったんやけど、私、忘れてきてしまったんやわ」努めて、明るく。


「えっ? どこへ?」と、びっくりする姑。

(もう、たいそうやなー、キュウリごときで・・・)


「机の上に置いてきたんよ」明るく、明るく。

「ええっ! なんで、机の上に置いたん。すぐにカバンの中に入れんとアカンで!」

ちょっと、怒ったような感じ。

(もぉ〜、大げさなんだから・・・ キュウリごときでぇー)



「でも、私のカバン、入れへんし・・・」

「えっ、そんな、小さなカバンか!?」

(財布とハンカチとティッシュだけ入れてる、バッグなんやけどなあ)


「カバンに入れへんのやったら、机の引き出しにでも入れなアカンやんか!」

ちょっと、声が高くなる義母。

(引き出しに、キュウリを入れるのもなあ・・なんだかなあ・・)


と、そこまできて、やっと、やっと、私は気付いたのです。(鈍感かも・・・)

私はキュウリのことを言い、義母はキュウリョウ(給料)のことを言っていると。

たしかに身内の気安さからか、義父は私のアルバイト代を時々忘れてしまい、
その時も、何日か過ぎていました。

それを知った義母が、私がお給料を受け取ったかどうかを気にして、電話をくれたのでした。

私は、自分の忘れてきたキュウリのことばかり思い、
義母は支払い忘れている、お給料のことばかり思い、

しばらく、平行線の会話が、トンチンカンに続いたのでした。

バッグに入りきれないほどのお給料、欲しかったなぁ


 < 過去  INDEX  未来 >


nogiku [HOMEPAGE]