そよ風


2004年12月04日(土) 怖〜い思い出

頻繁ではないけれど、宅配便をよく利用する今日この頃、
某宅配便の事務所でパートをしていた頃の思い出話。

年末、一年中で一番忙しいこの時期、いつもは暇な宅配便事務所も、
臨時の配達員や仕分け人アルバイトが右往左往し、
倉庫には、山のような荷物が積み上げられ散乱している状態だった。

でも、荷物を満杯に積み込んだ車が、みんな出払った後、
事務所の中は、急にガランとなり、私と上司(親類の人)だけになる。

忙しい上司は、いろいろな所用で走り回っていることが多く、
事務所の中は、たいてい私ひとりが留守番だった。

「みんなで外に出て待ってるのに、約束の時間になっても荷物が届かない!」
と、怒りの電話があったのはそんな時。

担当地区の配達員は当然、もう出発している。
道路状況や諸事情で、配達時間がずれることは多い。
携帯電話のような便利な道具は、当然まだ一般には存在しなかった頃、

(小荷物をわざわざ外に出て、みんなで待ってるなんて?? 変なの・・)

「すみません。もう少しすると届くと思いますが」と言う私に、相手が突然、凄んだ。
(言っとくけど、ちゃんと申し訳なさそうに返事をしたよ。)

「もう少し待ってたら、来るんやな!! 
けえへんかったら、そっちへみんなで行かしてもらう!!
男を電話に出せ! そこの場所を教えろ!!」
独特の口調だった。

そこへ、運良く(?)、相手のお望みどおり、ふらりと男が現れた!
事情を急いで説明し、無理やり電話を押し付けられた不運な彼、

しどろもどろに応対して、ここの場所を説明だけすると、電話を切り、
なんと「ゴメン、悪いけど、忙しいから」と、逃げるように行ってしまった!

たしかに、出入り業者的存在の彼は、私達とは仕事上、直接関係はない。
しかも、若くて、とても小柄で華奢で、羨ましいほど色白で、
どうみても私より、か弱く、なよなよしい。

こわ〜い人達が押しかけてきたら、どうしよう・・・
○○さん、早く荷物を届けて〜。

古い大型の倉庫が並ぶ、だだっ広い敷地には、たいてい誰もいない。
その片隅にある宅配便のちっぽけな事務所、すぐそこまで海が迫る。
倉庫の事務所は遠く、滅多に行った事がないし、私とは交流もない。

その当人の配達員が昼食のため戻ってくるまで、
一人、寂しい事務所の中で、不安な時間を過ごしたのは当然のこと。

「ええ? ちょっと遅れただけやけどなー」と、配達人。
「みんなで外で待ってた? 物凄く怒ってたでしょう?」
「いいや〜、べつに〜」
「・・・・・・」

今から考えると、あんな寂しい場所でよく留守番していたなーと思う。
誰からも目に付かない場所で、お金も無さそうな粗末な事務所だったが、
留守で持ち帰った小荷物、配達日指定の荷物などが、置いてあった。
若くは無いが(でも今よりは遥かに若い三十代)女事務員が一人で留守番してたのよ!

今は、埋め立てられ、大型マンション群とショッピングモールが建ち、
すっかり変わってしまったあの周辺、
昔の古い大型倉庫、ちっぽけな粗末な事務所は、今では、移転して近代的になってることだろう。

古くなって行くのは、人間ばかり也。


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