Rocking, Reading, Screaming Bunny
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Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
 9年続いたサイトの母体は消しました。この日記はサーバーと永久契約しているので残しますが、読むに足らない内容はいくらか削除しました。


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2008年10月22日(水)

お出かけ前に近所の美容院で前髪カット。コム・サ・デ・モードのシルクブラックの膝丈ワンピース、黒のオーガンジー風のドレッシーなボレロジャケット、黒のストラップ付き5cmヒールといういでたちを見て、美容師が「今日は雰囲気が違いますね」と言うので、「これからロサンゼルス・フィルハーモニックを観に行くんです」と言ったら、それは食えるんですか??くらいの反応で。私の口から出るのがよほど意外な言葉だったのか。
とりあえず、「父と一緒に行くんです。私、実はお嬢様なんですよ」と真顔でかましておく。

両親は月曜から赤坂東急に泊まっている。母が仕事で来て、父が遊びでついてきているのだ。父はこの3日間サントリー・ホールのチケットを取っていて、私も1日はつきあえというので今日にした。
最初は月曜のヒンデミットにしようかと思った。機能和声論で有名だが実際に聴いたことがないので、この機会にと思ったのだが。曲目を見たら合唱だったのでやめにした。クラシックの歌モノは嫌いなのだ。一番好きなビゼーのカルメンも、全て歌ナシのバージョンが好きだし。

ホテルに寄って母の顔を見てから、父とタクシーで六本木へ。まずはサントリーホールの隣に先月出来たカフェでお茶。実は私の生徒がここの店長なので、来てみたのだ。まだ20代だが驚くほどきちんとした子で、仕事を心から楽しんでいる。オープン前に飲食業の接客英語をひと通り教えたのだが、場所柄お客の4割が外人で、相当役に立っているとのこと。
聞けばロサンゼルス・フィルのバイオリニストがこの3日間このカフェに通っているらしい。「昨日のは簡単だったんだけど。今日のが難しいんだよなあ・・・」と言っていたそうだw

サントリーホールへ。2階席中央一番前。5月に東京フィルを観た時、1階席にしたらパーカッションの手元が見られなくて後悔した。オーケストラを観るのならこの2階席最前列が最高ではないか。(お値段的にも最高らしく、二人で5万w 自費ではとても無理)
指揮はエサ・ペッカ・サロネンというフィンランド人。100人余りのオケに黒人が3人だけいる。トロンボーン、コントラパス、そしてビオラに一人ずつ。
まずはストラヴィンスキーの「花火」。タイトル通りのわかりやすい曲。知らなかったがこれはバレエ音楽だそうで、ティンパニの入るところでプリマが飛ぶんだろうなと思わせる。
2曲目もストラヴィンスキーのバレエ音楽で「ペトルーシュカ」。やはりスラヴ系のこういうドラマティックさは好きだ。

休憩を挟んで、ドビュッシーの「海」。初めて聴く曲だが、これもいい。先ほどまでのわかりやすいドラマはなく、どちらかというと曖昧な陰影ではあるが、しかしそれでもやはりクラシックというのは恐ろしく複雑で、曖昧になればこそこの起伏の加減というのはヒステリックなほどに感じる。この曲はその感情のたかまりをいきなりぶった切るように終わる。
よくクラシックコンサートで寝てしまう人が多いなどというが、それは室内管弦楽などの話であって、オーケストラで寝る人間は普通いないだろう。音量の話ではなく、展開があまりにも目まぐるしいからだ。これに比べるとロックなんていうのは、プログレですら単純極まりない。

なんて思っていたら。ラストがラヴェルの「ボレロ」。私は実はこの曲が嫌いなのだ。ひたすら単調なうえに、わざとらしくかまえていて、品がなく感じる。今日はパーカッションが4人いて、前3曲でかなり堪能したが、この「ボレロ」におけるスネアだけは、見ていても何だかうんざりする。3拍子の2小節――しかも1小節目と2小節目は3拍目しか変化がない――をえんえんと最後まで繰り返すのだ。私がパーカッショニストだったら、ストレスがたまりそう。

アンコールはシベリウスファリャ。曲目が私のツボに入りまくった5月の東京フィルには及ばないが、なかなか楽しめた。

タクシーでホテルに戻り、なだ万のプロデュースだという和食の店で夕食。ここの接客は良かった。何を訊いてもきちんと答えられるし、そつがない。お料理も美味。
母が私に久しぶりに会えて物凄く嬉しそうだ。珍しくお酒で酔っ払ったらしく、それも手伝ってえらいことになっている。私をうっとりと見て、「今日の服、とってもきれい」などと言う。・・・えーと、これはあなたに買って頂いたんです。じゃなきゃこんな馬鹿高い服なんてw
昔は父のコピーと言われた私だが、今はすっかり母似だと言われるといったら、「まあ嬉しい。私、こんな美人かしら」って。・・・おかーさん、感動的なまでの親馬鹿っぷりですねw

ホテルの玄関まで見送ると言ってきかない両親に、別れ際に代わるがわる熱く抱擁される。私もハグ好きで、酔っ払うとすぐ抱きしめる癖があるが、親だけはいつまでも気恥ずかしい。
明日は箱根に遊びに行くらしい。本当に仲のいい夫婦だな。



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