Rocking, Reading, Screaming Bunny
Rocking, Reading, Screaming Bunny
Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


全日記のindex  前の日記へ次の日記へ  

*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
 9年続いたサイトの母体は消しました。この日記はサーバーと永久契約しているので残しますが、読むに足らない内容はいくらか削除しました。


この日記のアクセス数
*1日の最高=2,411件('08,10,20)
*1時間の最高=383件('08,10,20)


2008年03月14日(金)  おまえはおまえの責任で食え。俺だって辛いんだと、全力でヘタレを言え。

奥田民生を好きかと訊かれれば、かなり微妙ではある。いや、実は一度この日記でけなしてすらいる。
日本でトップクラスのアーティストであることは間違いない。しかし同時に日本のロックのレベルが英米と比べて相当に低いという事実もある。――――いや、事実だってば。ここで自分の好きなバンドを思い浮かべて反論したってしょうがないだろう。自分がどれだけ心酔出来るかと、「レベル」は違う。そもそもロックは欧米で生まれ育ち、日本では歴史も土壌もないのだ。一方、日本人なら、日本語で日本人のことを歌うロックがぐっと来るのは当たり前だ。ところが日本人感覚に共感する奴に限って、「ロックに歌詞は関係ない」とか言って、洋楽も理解しきっているような顔をする。「言葉」は興味があろうがなかろうが脳が一番素早く理解する要素であって、それを無視するのは無理だ。だから英語が苦手なら――いや例え英語が堪能であっても、日本語の歌は日本人の心にしみやすい。

そして時々日本のミュージシャンは自分のかっこ悪さを前面に押し出したりする。欧米には殆ど見られないことだ。奥田民生もその一人で、私だったらあの格好で煙草を買いに出るのも真っ平だと思う服装でステージに上がる。

で、この、映像である*該当ライヴの映像が削除されてしまいましたが、要は[Live Beautiful Songs」のバージョンです。他のライヴだと感動しません。 これを見つけたのは去年で、矢野顕子の検索で引っかかったのだ。(「ラーメン食べたい」は矢野の曲)
―――――いやあ。泣いたわw
勿論これは、天才矢野のつくった曲の底力が大きい。よく出来た曲というのは、誰が歌っても絶対に真価を損なわない。負けないのだ。だからこそ、全てのカヴァーは、「本人に勝つ」という気概を持ってやらねばならない。甘っちょろい「リスペクト」(おおこの「日本語」大っ嫌い)なんかしちゃいかんのだ。俺のものにしてやるという気持ちこそが、曲に対する愛である。

今夜、3/10の日記のタイトルに「ラーメン食べたい」の歌詞を使い、曲をYouTubeで聴こうとして、久々にこの映像に出会う。またもじーーーんとくる。
・・・ああまったくこのダサいナリ。1980年頃の田舎の高校生じゃあるまいし。ストレートなギターはいいが、それとは裏腹に上っ面に搾り出すような発声が好きになれない。だけど。
女も辛いけど、男も辛いのよ」―――いやあ。ここ。ここ、いいなあ。何回聴いても涙ぐむなあ。
元の歌詞は「男も辛いけど、女も辛いのよ」で、ここがこの歌の最大の山場である。そこまでずっと、ただラーメン食うだけのことを微細に語ってきて、このサビになるや突然、「辛いんだ」と言うのだ。ただし矢野は、全て悟りきった母性的な女のやさしさでそれを言う。
そこを奥田民生は――このダメなヘタレは――「俺だって辛いんだってばよぉ」と全力で音(ね)を上げてみせるのだ。
女はそうこられると弱いんだよ。
汚い奴だな、と思う。そういえば昔ユニコーンの「大迷惑」を初めて聴いた時もそう思った。私はあの手のバンドを大概軽視していたんだけど。あの曲がコンビニでかかって、おちゃらけたAメロの後のサビで、急に切ないメロに乗せて「この悲しみをどうすりゃいいの」と来た時、「・・・きったねえ」と言ったのを覚えている。こんなことをやられたら、ぐっときちゃうに決まってるだろう、って。言葉の意味の問題ではなく(いずれもたいした言葉ではない)、それを曲としてどう差し出すかだ。
同じことを、ブルーハーツの「人にやさしく」の出だし「気が狂いそう」を聴いた時にも思った。説明しない、捨て身の凄さを感じた。

やっぱ、ニホンゴの歌はいいわ。
(3/16up)

おまえはおまえの責任で食え。俺だって辛いんだと、全力でヘタレを言え。 (この日3/14の夜に、この日記の冒頭部分に上の映像のリンクだけを張って、そこに私が書いた言葉)



前の日記へ次の日記へ