Rocking,
Reading, Screaming Bunny
Far more shocking than anything I ever knew. How about you?
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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)
*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
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2006年10月28日(土) |
To understand the scheme of things. Just in time the scene has changed |
私のベスト1ミュージシャンはレオン・ラッセルだ。これはある時からそう決めた。
私は子供の頃からずっと、周りは音楽を聴く人間ばかりだった。特に16歳でバンドを始めて以来、要するに好きになる男も友だちになる女も全部ロックつながりなわけで、そういう環境を自分でつくってきた。だから、好きで普通の会社に入っておいて、「ロックの話が出来ない」なんて不満を言う人間もどうかと思う。 で、そういう人生で、いやになるほど繰り返されてきた質問がこれ。「誰が一番好きなの?」 ベストワンのアーティストまたはバンドなんて、自分だってまず答えられないだろうに、人は何故かこの質問を繰り返す。そして訊かれた方が答えに手間取るのは、本当に迷っている以外に、どう答えるのが自分を最大限にアピール出来るかと考えてしまうからだ。 で、面倒になったので答えを決めた。「レオン・ラッセル」と。以後20年間、この選択を後悔したことはない。
実はこの答えは非常に便利でもある。何故なら相当のロック好きしか、レオン・ラッセルをちゃんと知らないからだ。ビートルズと答えても、レッチリと答えても、「ああ、そういうの好きなんだ」と物凄く粗雑な納得をされる恐れがある。(ビートルズが「どういうの」だか言ってみろ!!) だが、レオン・ラッセルなら大丈夫だ。 高円寺のCROSS ROADに一年間勤めた間、女がロックバーのカウンターに立っていると値踏みされるのか、たまに「君、何が一番好きなの?」と試すような口調で言われることがあった。そういう時、「レオン・ラッセルです」と即答すると、たいてい相手がふっと黙ってくれる。語るだけの知識がないか、または知っていればこの名前に気圧されるのだ。
今夜、まちょ(g)に渡すXeroXのコピー用音源を焼いていて、一緒にレオン・ラッセルの2ndも焼いてあげようと思ったら、つい録るのも忘れて自分が聴き惚れてしまった。久々にイヤホンで大音量で聴いたので、血管に注射しているかのように音楽が入ってきて、あまりの衝撃にへたへたとなる。 私は1stがレオン・ラッセルの真髄だと思っているが、2ndを聴いている時はその判断が揺らぐ。1曲目の'Stranger In A Strange Land'の出だし、ピアノの一音一音、'Wow-oh'というひと声、そして歌に隙間なく圧倒される。"He shares a simple secret with the wise man."の"w---ise"という部分に揺さぶられた時には既に泣いている。この間わずか50秒。以後2曲め以降もびっしりと感動が続く。 B面のトップは'The Ballad of Mad Dogs and Englishmen'で、私は昔この曲を聴いて詩を書いている。B面ラストの'Beware Of Darkness'にはっきりとロックの危険性を告げる警告を聞き取り、しかし既にその「車」から降りる気がない自分、降りないで連れ去られることの快さに慄き、悲痛な覚悟を書いた私が、そのすぐ後に'The Ballad of Mad Dogs and Englishmen'を聴いて、全く趣の異なる、いわばあたたかい詩を書いている。私はこの曲に、自分を駄目にすること、生きる能力がないこと、何も持たないことへの優しさを感じ、慰められたのだ。 ───歌詞の内容ではなく、曲そのものの話だ。歌詞自体は殆ど意味のつながらない言葉が並べられていて、ひたすらその音が美しい。"Union members. Leo Fender's pride and joy. Electric toy."といった具合だ。R.E.M.のマイケル・スタイプは、「イエローページを読んでも人を感動させられる」と言われているが、レオン・ラッセルは「全ての単語を感動的な発音で歌える」のではないか。
と、すっかりひたりきっていたら、ちょうどまちょからメールが来たので、2ndを焼こうとしていることを言ったら、既に買ったとの返事。 ────────エクセレント。
To understand the scheme of things. Just in time the scene has changed (ちょうど私が我にかえった時、あなたが理解の手をさしのべる) *The Ballad of Mad Dogs and Englishmen / Leon Russell (1971) の歌詞。
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