Rocking,
Reading, Screaming Bunny
Far more shocking than anything I ever knew. How about you?
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*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)
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2006年07月12日(水) |
I wake up in the morning and I wonder why everything's the same as it was |
シド・バレットのいない世界に目覚め、シド・バレットのいない世界を歩き回る。どこかに私と同じような気持ちを味わっているひとはいないんだろうか。 そう思いながら、すれ違う人たちの顔を眺める。
シド・バレットは音楽的には1972年に死んだ。1967年にピンク・フロイドの1st、フロイド脱退後の1970年にソロが2枚。 一般世間からも、いや現実世界からも退いてしまったような人だ。今日までの長い時間を彼がどうやって永らえてきたのかとすら思う。
私は、自分がまさかシド・バレットが死んで泣くとは思いもしなかった。実際彼のソロが大好きというわけでもない。どちらかといえばピンク・フロイドの1stが好きで、特に'Interstellar Overdrive'は、ブートの30分近いバージョンを続けて2、3回聴いてしまうこともある。 ピンク・フロイドは好きだが、1stは全く違うバンドだ。Syd Barrett's Pink Floydという言い方があるのも当然だと思う。2nd以降のフロイドは男臭く理知的でしかしどこか大衆的で、荘厳な完成を目指すあたりがかえって気が小さい。 シド・バレッツ・ピンク・フロイドは、しなやかな女々しさ、サイケデリックな華やかさ、エレガントな選民意識を持ち、その音は軽くバウンドして星に届く。
実は私は、ピンク・フロイドがいつまでも──去年のライヴ8での再結成にいたるまで──いつまでもめそめそとシド・バレットの面影を慕っているのが気に入らなかった。'Shine on You Crazy Diamond'や'Wish You Were Here'はいい曲だが、しかしそのコンセプトはどうかと思う。ましてロジャー・ウォーターズが後年、「ピンク・フロイドは、シドさえいれば他のメンバーは誰でもよかった」と発言するに至っては。 詳しいいきさつは知らないが、結果的にはピンク・フロイドはシド・バレットを見限ったのだ。違うというなら、解散するなり、狂ったままのシドを受け入れるなりすればよかっただろう。彼らはギルモアを迎えて新しい道を歩んだ。それでいいではないか? ライヴ8までがメイン・テーマが「シド・バレット」だ。だからマスメディアはその前後に一般人であるシドを追いまわし、写真を撮った。 しかし、ライヴ8で'Wish You Were Here'を歌うロジャー・ウォーターズは、まさしく「お涙頂戴」的でありながら、実際に涙を誘う雰囲気があった。彼は、本当に今でもシドが恋しいんだな。そして1stの頃に、シドのかたわらで演奏するロジャー・ウォーターズは、実にいい顔──何かに魅せられたような顔をしていた。彼は、Angelと一緒にいたんだと思う。
それだけシド・バレットという存在は大きかった。私が泣いた理由も、要するにそういうことなんだろう。 あれだけ印象的な顔をしたひとは他にいなかった。彼はブライアン・ジョーンズと比較されることもあるが、両者の大きな違いは、ブライアンがパフォーマーであったのに対して、シドはクリエイターだったことだ。そして、パフォーマーのブライアンよりもクリエイターのシドの方がよりフォトジェニックであったことは、不思議でも何でもない。何故ならシドは、自分の存在自体をクリエイトしていたから。 カリスマとは自然発生的なものではなく、本人の自意識が生むのである。
街は何ひとつ変わらず、勿論変わる筈もない。しかし、もうこの世界にはシド・バレットがいない。既に観念の中だけで生きていたひとだが、しかしそのひとはもういない。この世界のどこかに、見えない穴があいている。
夕べよそのブログで読んだ、あのひとことに尽きるんだな。 「バイバイ、シド」
I wake up in the morning and I wonder why everything's the same as it was (目覚めると、いつもと変わらぬ世界なのが不思議だ) *The End Of The World / Carpenters (1973) / Skeeter Davis (1963) の歌詞。
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