Rocking, Reading, Screaming Bunny
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Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
 9年続いたサイトの母体は消しました。この日記はサーバーと永久契約しているので残しますが、読むに足らない内容はいくらか削除しました。


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2003年07月03日(木)  Come on baby, light my fire. Try to set the night on fire

今日はブライアン・ジョーンズジム・モリソンの命日ってことで。
よりによってカリスマが二人。どちらもファンに気狂いじみた興奮を喚起する人物。どちらも若くして亡くなり、伝説となった。
生年は1年違い。没年は2年違い。享年はともに27歳。どちらも水の中で死んだ。

「彼は、ローリング・ストーンズの汚点だった。ストーンズがいくら懸命にこすってもこすり落とせない汚ならしい染み……。ブライアン・ジョーンズが世の中の為になる何をしたのかって? 彼は何もしなかったのさ。実際、何もしなかった」
そしてこの汚い染みこそが、その後30年あまりにわたってローリング・ストーンズというバンドのイメージを支配することになる。

一体ロック・ミュージシャンって何なんだろう。ブライアンは自分のオリジナルを作ることにすら熱心ではなかった。
キース・リチャーズは最近、日本のヤク中のキッズに一言と言われ、「何やってもいいけど、死んだら終わりだ」という意味のことを言ったらしい。その通り、キース自身は生き延びて、40年もの間世界中のファンに素晴らしい曲と演奏を与え続けている。それに比べてブライアンが何をした? たった27歳で、ヤクをやって死んじゃったんだ。ローリング・ストーンズがデビューしてわずか6年後のことだ。

ミックが殺したっていう説さえ出たんだよ。普通に考えれば、既にストーンズを脱退していたブライアンをどうして殺す必要がある?
───そして、勿論殺す必要はあった。ブライアン・ジョーンズという人物は、ミックやキースでさえ超えられない存在だった。要するに。
邪魔だったんだよ。悲しいくらいに。

ブライアンの死が殺人だなんて信じちゃいない。でも、彼は殺される必要があった。ローリング・ストーンズがその後長年にわたってやっていくために。世界が、彼なしで正常にやっていくために。一方では、彼自身の伝説を完成させるために。
ブライアン・ジョーンズはそれだけ強烈で大きかった。──あえて、偉大とは言いたくない。彼も、そう評されたくはないだろう。

同じ時期に新大陸では、別のカリスマが生まれていた。アメリカン・ポエットと呼ばれた男、ジム・モリソン。
ジムはブライアンに比べたらエリートと言ってもいいくらいだ。ドアーズに入るまでの経緯も順調。しかしその後の彼は酒と薬に溺れ、最終的にはブライアンと同じような死を迎えることになる。

1stアルバムのラスト曲の曲名が"The End"だ。太宰治の処女作のタイトルが「晩年」なのを連想させる。
彼はブライアンほどにも持たなかった。デビュー後たった4年で死んでしまう。しかしその4年間の密度ときたら。まるで前向きとも思えるほどに、最初から予定していたかの如く死に向かって突っ走る。孤高のブライアンと違い、彼にはレイ・マンザレクという庇護者がいた。ジムはレイをバックに子供のように好き勝手に遊び、かき回し、一人で死んでしまった。
ストーンズはブライアンの死を乗り越えたが、ドアーズはジムの死から立ち直れなかった。

そして私たちも逃れられない。あれから30年以上たって、ロックの世界はまだ、ブライアンとジムに魅せられたままだ。

ロックって何なんだろう。「音楽」を明らかに超えた何か。つかまってしまうと、人生を棒に振る危険を持つ、そしてその価値があるように思ってしまうもの。
世界を、夜を、私を飲み込んで、止まらずに流れていく波。
ここに自分を投げ込んでいいのか。ゆだねてしまって、かえりみないで、後で泣かないだろうか。
それともこれは、私自身などより価値のあるものか。そうだとしたら、何て幸せなんだろう。

The world I love, the tears I drop, to be part of the wave can't stop.
Ever wonder if it's all for you.

Come on baby, light my fire. Try to set the night on fire (さあ、僕に火をつけて。この夜を燃え上がらせてくれ)  *Light My Fire / Doors (1967) の歌詞。



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