Rocking, Reading, Screaming Bunny
Rocking, Reading, Screaming Bunny
Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
 9年続いたサイトの母体は消しました。この日記はサーバーと永久契約しているので残しますが、読むに足らない内容はいくらか削除しました。


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2002年12月07日(土)  A Design For Life / Manic Street Preachers

午前中カムデン・タウンに行き、タトゥーを入れる。
入れようと思いついたのはアムステルダムに行く前くらいか。日にちもないことだし、ロンドンに戻ったらすぐにやろうと思った。入れようという思いつき自体と、入れる場所と図柄とが、全部同時に頭に浮かんでいた。
カムデンならタトゥーやピアーシングのスタジオが沢山あった筈なので、とにかくやってきた。
駅を出て一番先に目についたスタジオへ。黒髪のスロヴァキア人のお姉さんが、渋い低音の声で "Can I help you?" と来たので、欲しい絵柄を詳しく伝えて、色々探してもらう。結局ずばりこれという絵柄はなかったので、ひとつ選んで色・デザインを変えてもらうことに。お姉さんが絵柄を私の希望の大きさに拡大コピーしてくれる。

彫師はポーランド人で、ポーランドのヘビメタを部屋に流していた。
まずはタトゥーのコピーをトレーシング・ペーパーのようなものに写し、インクでなぞり、肌の上の然るべき場所にぺたりと貼ると、絵が肌の上にうつる。それを上から彫っていくわけ。

作業をするところはまるっきり歯医者のよう。歯医者のような台。歯医者みたいな椅子に座らされる。彫師は製図のロットリングに使うような器具(ただし先は針)を手に持ち、台のスイッチを入れるとそれがういーんと動く。
相当痛いものと思っていた。時間も何時間もかかるか、下手したらその日だけでは終わらないと。とにかく入れると決めたんだから、覚悟はしていた。
きたきたきた・・・うわー・・・
あれ?
全然痛くない。何か、かりかりやられてるけど、痛いとまでは思わない。
えー、刺青ってこんなもんなの? こんなに簡単なの?
作業は順調に進み、20分くらいで終了した。彫られている最中も、何だか気持ち良いくらいで、過程としても結果としても、とてもエレガントな仕事をしてもらった気がする。
終わったので鏡で見てみる。"Beautiful." の一言だった。右の胸の上、シャツには隠れるがブラからは出る位置に、夢のように綺麗な深い青の蝶。

ヒーリングクリームを塗りラップして、上からテープで止める。
3、4時間してから取るように言われる。特に痛くもない。
彫る間、セーターを脱いでいたので、結構身体が知らないうちに冷えていた。バックス・ヘッドというパブでヒーターの横の席に座り、ビターを飲んでジャケット・ウェイジズ(ジャガイモの皮つきの部分を揚げたもの。サワークリームをつける)を食べる。まだ身体が温まらないので、ジンももらい、自分のフラスクからこっそりどんどん注ぎ足しては飲む。気づいたらかなりの量を飲んでしまっていた。

食べたばかりなのにまたストールのチャイニーズを見てしまう。ああうまそう。ダメよダメダメ。でももうすぐ帰るんだし。あああ買っちゃった。またそんなに山盛りで・・・。食べながら歩く。うまいー。
酔っ払い、お腹いっぱいの状態で、へろへろふらふらとカムデンの街を歩き回る。ふわふわして何とも気持ちいい。
マーケットのストールでまたJoに会った。"I'm drunk today." と言ったら笑っていた。赤い絞り染めのブラウスを買う。クリスマスに我が家に招待しようと言われたので、明後日帰るのだと言う。残念。

一度ホテルに戻り、マニック・ストリート・プリーチャーズを見に行く。ウェンブリー・パーク駅はゾーン4。今までで一番辺鄙な場所だ。
会場のウェンブリー・アリーナだが、どうも気に入らないつくりだ。ステージから向かって奥に縦長に伸びていて、角ばった長方形なのだ。1階は前半分がスタンディング、後ろがシート席。2、3階は、左右に座ればステージから90度顔を背けるかたちになるし、正面の奥は遠すぎる。

前座が何と元ストーン・ローゼズイアン・ブラウン。しかし歌が下手だね、この人は。どういうわけか「ビリー・ジーン」なんか歌う。マイケル・ジャクソンが聴いたら失神しそう。いいけど、させても。

マニックス登場。1曲目は"Mortorcycle Emptiness"。後ろにずっとビデオ映像を流してるんだけど、この1曲目の映像のロケ地が何と日本(渋谷)で、 「三千里薬局」っていうでかい字がずっと映っている。ニッキーが子供みたいに飛び跳ねているのが可愛い。
昨日のプライマル・スクリームを見たあとだけに、今日のマニックスというのが本当にきちんとしたコンサート作りをしているという印象が強かった。歌・演奏ともにかなりしっかりしている。客の喜ぶ曲ばかり立て続けにやり、最後は"A Design For Life"でしめて、何とアンコールなしですぱーんと終わった。客がそれにきっちり納得しているのがまた凄い。
しかしこのバンド、デビューは90年代に入ってからの筈なのに、音がもう'80年代のロマンティックな夢の名残とでもいった感じで、こんなバンドが未だに生き残っているということが、いかに根強い固定ファンを多く持っているかという証明である。昨日のオーディエンスはライブを楽しんで賑やかに帰っていった。今日のオーディエンスは感動に打ちのめされて無言で帰るのだ。
帰りに出口のところで一人の男性が連れに一言 "Special people...!!" とだけ言ってため息をついていた。幸せなバンドである。

それにしても、昨夜といい今日といい、オーディエンスの中に上は50代までちらほら見えるというのがすごい。マニックスを見に来る50代の夫婦なんて、日本じゃまずありえない。これはこの国では大人がロックを聴くという環境が築かれていることも勿論だが、大人が子供に馬鹿にされることを恐れていないことも大きいと思う。日本では、大人はひたすら若さを恐れている。色んな意味で。

帰りにマニックスのTシャツを売ってた男性にナンパされる。煙草だけもらっとく。
そういえば行きにはダフ屋にナンパされた。ほんと節操ないな、ここの男たちは。



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