けろよんの日記
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2012年07月08日(日) フットルース(その2)

 ミュージカルや映画の感想を書くときって
いいものを見ればみるほど難しい。

・内容が良かった。
・音楽や踊りが良かった。
・俳優さんが良かった。

観ていない人にこの感動を伝えたい!
だけど有る程度あらすじやキャラクター造形もいるし。。。
本当に難しい。

作品について。

いい脚本だった。

フットルースというと、まず若者の青春群像。
枠を作る大人と反抗するこどもとの対立。
とまず想像した。ありきたりの構図。

今回の公演で大人からの規制をあきらめたり(高校の生徒たち)、
反抗し、もがいたりする(アリエル)若者だけではなく
「傷ついた大人」もきっちりと描かれていた。

取り戻せない過去の事故に心を閉ざしてしまった姿。(ムーア牧師)

傷ついた者同士、どうやって労わりあっていけばいいのか、
距離をはかりかねる姿。(ムーア牧師の妻ヴァイ)
大事な人の心から締め出された悲しみ(ヴァイ、レンの母エセル)

また同じ悲劇が起こったらどうしようと怯え
頑なに枠という安全圏を作ろうとする町の人々。

少数だが、若者を理解し力づけようと手を伸ばす者も
(エセル、ハンバーガー屋の女店主)

レンや仲間たちは、奇襲でも規則の逸脱でもなく、
条例の廃止という正攻法で自分たちの要求を通そうとする。
そして、「自分の言葉」で語ろうとする。

過去を乗り越えて、ひたむきに芽を伸ばそうとする
若い力に、大人の重荷が取り払われるシーン、
「あなたはもうとっくにひとりだ!」
泣けた。

 人生は楽しいばかりじゃない。
悲しいこと、辛いこと、自分ではどうしようもないこと。
だから、家族や友人ら愛するものがいる。

 ただ、
愛するもの同士や、友人達の間にだって行き違いや無理解がある。
誰からも理解を得られず、気持ちをぶつけることができずに、
孤独感だけを胸にかかえて日をやり過ごすだけの年月もあるかも知れない。
ため息をついて、砂を噛むような日々だけかもしれない。
だから、音楽やダンス、その他のありとあらゆる美しいものを。



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