Jacarandaの日記
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2004年07月30日(金) |
DNAの二重らせん構造 |
今朝のラジオのニュースで、
「 DNAらせん構造を発見したクリック氏死去 」
と報じられていました。
フランシス・クリック博士と
ジェームス・ワトソン博士。
両氏のDNAの二重らせん構造の発見は、20世紀最大の科学的発見の一つとも言われ、
それまでの生命科学の概念を大きく変え、現在の分子生物学の基礎を築いたのです。
偉大な科学者の一人でした。
私は、大学一年生の教養課程の「 分子生物学 」で、
デオキシリボ核酸(DNA)のそのらせん構造の魅力の取りつかれ、
「 生命科学の研究の道に進みたい! 」
と思ったのでした。
今でも、蔵書の中にある その時の教科書であった分厚い「分子生物学」の本。
ついこの春まで、ゲノム構造、そして蛋白質の研究の仕事に携わっていた私にとって、
彼の死は、とても感慨深いものがあります。
20世紀が始まってから、遺伝学が急速に発達しました。
親の遺伝子がどのように複製され、その遺伝情報を正確に、どのように子供に伝わるのか。。。
遺伝子の正体が、細胞の核内に存在する染色体にあるDNAであり、
その構造が、二本の長い鎖のようなアミノ酸の分子をより合わせた、
らせん状の構造であることを突き止めたのが、
1953年のことでした。
生命現象をつかさどるものの正体、
これは、科学の世界に生きる人々だけではなく、
一般の人にとっての世界観をも変えた大きな発見だったと思います。
クリック氏とワトソン氏は、このDNAのらせん構造の発見により、
1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
その後の氏は、DNA研究から離れ、
脳科学の道を歩まれて、なくなるつい最近まで、精力的に研究に励まれていたそうです。
私も微力ながら、氏と同じ脳科学の世界で過ごし、
その後、ゲノム研究から蛋白質の研究の世界で過ごしていけたのも、
あの大学時代に出会った、「らせん構造」の魅力が原点だったと思います。
クリック氏が、この偉大な発見をしたのは、氏が37歳、
( そして、ワトソン氏25歳 !)の時でした。
これから私は
形を変えた生命科学の実際の現場、実践の世界に足を踏み入れます。
新しいことを始めるのに遅いということはないのです。
人間はいつも前向きになれるものだ、
そんなクリック氏からの、エールが聞こえてきそうです。
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