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2005年02月16日(水) |
哲学?啓蒙?(かもめのジョナサン) |
リチャード・バック『かもめのジョナサン』読了。
なるほど、よくできた作品だと思う。 この短さの中に、これだけの内容・展開を盛り込んであって、 けれど圧迫感や性急さといったストレスはない。 ぐいぐいと、それこそ翼が風に乗るように、読み進められる。
チープにこの作品のメッセージを読み解こうとすれば、 生きる意味を求めよ! ってことなんかな。 パート1・2は自己の探求という意味でいいとして、 パート3で群れのかもめ=食うことだけにとらわれている者たちに、 飛ぶということの意味=生きることの意味を教授するという段は、 ちょっと釈然としない。 というか、怖い。
自身の「肉体」は、自分がそう思いこんでいるだけであって、 その認識から解放されれば、なんだってできる(瞬間移動だって)、 という境地に至り、 ついには死んだはずのかもめも蘇るのだけれど、 これはそうとう怖いよ。 何かにとりつかれたようでもある。
哲学めいているし、しかし宗教めいている。 (もちろん、哲学と宗教は密接に関係しているが)
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