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2004年09月27日(月) オモテとウラ(柴崎友香『きょうのできごと』)

柴崎友香『きょうのできごと』読了。
行定監督が、一読惚れして映画化したらしいので、
はて、なにがそんなに魅力的だったのか、興味がわいたので読んでみた。

たしかに、面白い。
とりたててなんということもないフツーのことを、
淡々と、書いている。
が、そのフツーさが、リアルで、愛らしくもある。
それにしても、やっぱり、だからなんなの?っていう気もする。
わざわざ「作品」となるようなお話じゃないんだけどね。

一人称の地の文がほぼ標準語で、会話がばりばりの関西弁。
そのギャップに多少違和感を覚えなくもないが、
それがためにオモテとウラをうまく表現できているのかもしれない。
半ば本能的に、半ば無理矢理にはしゃいでいる会話と、
でもその実、内面では冷静に自分や周囲を分析している、
そういうところ。
たぶん、誰もがそういうことを日常的にしていると思うので、
身につまされるようでもある。


しかし、映画はそのまんまじゃないか。
原作の会話が、かなりそのまま使われている。
なまじ映画を観てから読むと、役者たちの声がリアルによみがえってくる。
でもべつに、台本読みたいわけじゃない。

映画では、必然性が感じられなかったクジラと壁男は、原作にはなかった。
なんだ、やっぱり後付なのか、という感じ。
どうしても映画には何か盛り上げが必要なのだろうけれども、浮いてしまっている。
メリハリもなく、山場もなくても、原作はこれで世界が完成されているんだよね。


鳥乃 |MAILHomePage

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