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降りる駅が近づいたので、座席から立ち上がった。 すると、中学生くらいの少女が、その友人の腕をそっと引いて道を空けてくれた。 あまりにも自然だったので、腕を引かれた子は何も気に留めなかったようだ。 しかし、わたしは、とても嬉しかった。 じんわりと温かいものが胸に広がる感触がした。 (だって、車内で道を空けてくれるなんて、ほとんどお目にかかったことない) ほんの軽く会釈をしただけで、この 気持ちが彼女に伝わったかどうかはわからない。 いや、おそらくは何も。そんなこと、気にしないだろう、きっと。
ほんの些細なことだけれど、 さりげない心遣いは、とても素敵だと思う。
人と歩くとき、その人と反対側に鞄を持つとか、 後から入ってくる人がいるなら、開けた戸を支えるとか、 傘を差してすれ違うときは、相手と反対側に傘を傾けるとか、 ……たくさん、たくさんある。 ボランティアなんて声高に叫ばなくても、これがやさしさだと思う。 いや、本当は、もっと自然なんだと思うんだけど。
細かい細かいとよく言われるけれど、気がつくことはやっぱり続けていこう。 ああだけど、つい他人にも要求したくなるのは、ダメなのかなあ。 (心ガ狭クナッテイル証拠)
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