ぶらんこ
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2009年02月01日(日) リンク

友人らと温泉旅行に来ている。山奥のわりと大きな旅館だ。
温泉に浸かって友人らと話しながら、今日果たすことの出来なかった山登りのことを思い出している。
そして、どうしても登りたい・・という気持ちが強くなっていった。

ちょっと行って来るから、と友人に声をかけた。
彼女達は「気を付けてね〜」と笑いながら気軽に手を振ってくれた。冗談だと思ったのか?

湯気の篭る渡り廊下を抜けながら、ワクワクと胸の高鳴りを覚えた。今から出かければ明日は皆と合流できる筈。。。

 ・・・

登山口に到着した。周囲にはもう誰もいなかった。
登り始める前に自分の跳躍力を確かめてみると、まずまずの感触だった。

わたしは飛ぶように山道を進んでいった。
ひと跳びで10m以上は軽くいけた。
跳び方に慣れてくると、もっと大胆に跳ぶように試みた。
そうだった、こうやっていつも飛んでたじゃないか、と思い出した。
そして、なぜずっと歩いてたんだ?と不思議に思った。なぜ忘れてしまってたんだろう?

あっという間に頂上まで来た。
辺りは靄に包まれている。これまで登って(跳んで)来た道程も靄に満たされ、ところどころ見え隠れしていた。
汗ひとつかかず、いとも簡単に到達してしまったのだが、とても晴れやかな気持ちだった。
ずっと忘れていた何かを取り戻したような満足感。

ふと、友人らに見せようと思い、周囲の写真を何枚か撮った。
ちょっと恥ずかしい気持ちもあったが、右腕をなるべく前へ出してカメラに向かってにかっと笑い、自分の写真も撮った。

それから山を下りた。
登ってきたときよりもさらに大胆に跳んで下りていった。

 ・・・

駅には大勢の人達がひしめき合っていた。
大久保、急行〜。というアナウンスを耳にし、慌てて電車に飛び乗った。
暗い表情の、赤ん坊を連れた女性の隣に座った。眼が合ったので軽く会釈したのだが、彼女はそっぽを向いてしまった。
赤ちゃんはシートの上に寝かされていた。古めかしい時代錯誤な服を着せられていて、生地の厚さとは裏腹に到底暖かい服とは思えなかった。

ほどなくして車掌が入ってきた。若い女性だった。彼女は真っ先にわたしの元へやってきた。
チケットを見せると、「指定席。480円いただきます」と言うので、「すみません、移ります」と席を立った。


それからその電車を降りた。乗り換えのためだ。
人の波に逆らわずに進むと、エスカレーターが伸びていた。前方からスムースにエスカレーターへ吸い込まれていく。
わたしの番になりいざ足を踏み出すと、そのエスカレーターには手すりも何も付いていなかった。いわゆる足元のベルトコンベアのみだ。
ひゅーーー危険だなぁ・・・と思い、軽く跳んで降りることにした。長いエスカレーターだった。
慣れているのか、人々は黙ったまま静かに立っている。わたしはその中を縫うように跳んでいった。
何度かめで地上が見えた。出口(?)には駅員が立ち、人々を誘導していた。そこを目指して跳ぶと・・・

エスカレーターの出口付近に、鉄棒のようなものが何本か立っていて、トンと足を下ろしたときに、それらがバラバラと崩れてしまった。
なんでこんなところに障害物があるの?と思いながらも、ぎろりと睨む駅員に「すみません、」と軽く頭を下げた。

駅員は冷ややかに「計何本?罰金はあちら」と言って、もうひとりの駅員を目で示した。
まったく気付かなかったのだが、もうひとりの駅員が少し進んだところに立っていた。こちらはとっつきやすそうな顔をした若い男性だった。

幾ら払ったら良いのか訊くと(なぜか英語)、彼はにこにこ笑って何も言わないので、わたしはお財布から10セントを手渡した。
「ダイムなんて!」と、彼は噴出した。「きみが倒したのは何本だったと思う?」(こちらも英語だった。喋り方からアメリカ人なのだと思う)
突然、恥ずかしい気持ちが沸き起こった。そして、10本もなかった筈、と思い、$1札を差し出した。
しかし駅員はまだ笑っていた。わたしは、これ以上は大きなお金になってしまうからそれしか出せない、と丁寧に、だが強気に交渉した。
サイフの中には$5と$20紙幣が何枚か入っていたのだが、$5払う気持ちはさらさらなかった。
駅員はにやっと笑いながら、「オーケィ」と通してくれた。

 ・・・

アミューズメントパークにいる。
屋内型の、巨大なアトラクションを見上げている。
透明な筒状があちらこちらに伸びていていて、6人乗りほどの車が音もなく通り過ぎていく。
わたしがいる場所は中庭のようだ。とにかく入り口か出口を探さないとどこへも行けない。
わたしは軽く跳躍して高いところへ立ってみた。何度か跳ぶと、こどもが座っているのが見えた。
どこから来たのだろう?いや、どうやって来たのだろう?と思っていると、下から母親らしい女性がその子を呼んでいた。
すると、いつの間にかその子は母親と一緒にいて、わたしのことを見上げていた。
あれ???どうなってんの?
女性はこどもに「見ちゃいけません」と言っている(ような気がした)。でもこどもはまっすぐな眼でわたしを見ている。
あの子なら行きかたを知ってるかもしれない・・という気がするのだが、今ではもう豆粒ほどに小さい。


ここは前にも来たことがあるんだけど・・・行きかたを思い出そうとするのに、どうしても思い出せないでいる。








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