ぶらんこ
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2009年01月25日(日) 野うさぎ

今朝起きたら、辺り一面、新しい白に覆われていた。
雪はもう止んだようだが、とてもとても、寒い。

冬は大嫌いだ!と夫は言う。
わたしはそうでもない。否、そうでもなくなった。
寒いのは苦手だけれど、嫌いではない。
どんなに気温が低くても、そこそこ大丈夫なんだなぁ、と自分自身驚いている。
犬と外へ出たときの、キーンと痛いような空気が嬉しく感じることさえある。
呼吸するだけで胸の奥まで凍てつくような日には、言葉には出来ない、畏敬の念が湧いてくる。
雲のない冬の日の夜空の美しさは、何ものにも代えがたいほど格別だ。
そんなとき、冬もいいモンだな・・・と、素直に(のんきに)思う。




庭に建っている古い倉庫の床下に、野うさぎ一家が暮らしている。
同じファミリーなのかどうかはわからないが、ここへ越してきた頃から幾度も彼らの姿を見かけている。
彼らは天気の良いときに出てきて、ちょこんと座って何やら眺めていたり、雪の下にあるだろう草を掘り返したりしている。
最低でも4匹の家族だ。


犬たちはもちろん彼らの存在を知っていて、猛然と倉庫の東側に駆けて行くことがある。
きっと、庭に出た途端、野うさぎ一家が活動した匂いとか光とかの痕跡を感じるのだろう。
まぁ決まって彼らは既に床下に避難した後だけれどね。



先週、ほんの少しの期間だけれど、寒さの緩んだ時期があった。
そのとき、久しぶりに野うさぎの赤ちゃんが一匹、外へ出て来ていた。
夫が見つけ、わたしを呼んでくれたのだった。
彼女(彼?)は何を食べるわけでもなく、ただまぁるく座っているだけのように見えた。
かなり長い時間だ。時々、伸びたり縮んだりしていた。日向ぼっこをしていたのかなぁ?


わたしたちは珈琲を飲みながら、その子の様子を飽きることなく眺めた。
雪の積もったままの庭。
裸の樹たちは陽光を遮ることなく惜しみなく世界へと注いでいる。
そこでちいさく輝くいのち。


義両親はわたしたちの古い倉庫を新しくしたいといつも言う。
新しくしなくとも、せめて向きを変えたほうが良い、と勧める。
庭の景観のためにとのことだが、わたしたちはまったく気にならないし、今のままでいいと思っている。
(確かにかなり古いので、それなりの修理は必要だけれど)
以前うっかり、義父に野うさぎ一家の話をしたら、彼はうさぎ退治の方法について力説してくれた。
なのでそれ以来、その話は避けるようにしている。笑


うさぎが住みたいのなら住まわせておけばいいじゃないか。と、夫は言う。
別になんの問題もない、と言う。
わたしと夫はまったく違うタイプの人間だけれど、こんなところは価値観が似ているようだ。
背景にある想いに違いはあれど、こんなとき、彼が夫であることを嬉しく思う。



ところで余談だが、彼は人間よりも動物とのほうが波長が合うのではなかろうか・・と、最近、特に感じている。
それは人間の世界では「生き辛い」ことなのだろうけれど、その素晴らしさを彼自身、気付くと良いのになぁ・・と思ったりする。
気付いたところで何かが開けるような気がする。
もしかして気付いているのかもしれないけれど・・・いやどうだろう。。。


うんにゃ。決め付けちゃいかんね!彼は彼。わたしはわたし。


彼のことは彼にまかせよう。
わたしはわたしのことを。


野うさぎのことは・・・野うさぎにまかせる!




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