走ったら谷底へ〜走・ら・谷〜
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2004年09月13日(月) 勧善懲悪純愛そして初恋。

こんな小説があったら今ならどんくらい売れるのだろうか。石田衣良の「スローグッドバイ」を読むと、そんな気分になる。

よっしゅう(伊坂幸太郎命名)の「長崎乱楽坂」では、主人公が投げかけた疑問がほとんど、自分の顔に当たってしまう。受け止めるのが難しい現実ばかりがはね返ってくる。しかしスローグッドバイはかならずキャッチボール。

「また会えますか?」スローグッドバイの世界に入れれば、こんな言葉、言うのは水の中で息するよりは、簡単でしょう。

出版されたのが2年前。小説すばるに掲載されたのが3年前。「夢のキャッチャー」あたりをもっと前に読んでいたら、少しは違っていただろうか。そんなに違ってなくてもいいけど。

まだあと3作ばかり残っております。小説で書くとさらっとしてるけど、自分が想定した人じゃない男性がこの展開に自分を導いても、「何でもかんでも恋愛につなげるのねえ」と引いてしまいそうな感も否めませんが。それとも、こうやって何かの出会いもすべて引きずり込める男性がやり手なのか。

なんて。
そんなことは考えないで読めるのがまたこの本のいいところかもしれない。
どうせ嘘偽りの世界なら、幸せが見たい。恋愛以外のことで疲れている人にお勧め。特撮で言うならば、人間のココロベースな仮面ライダー剣よりもひたすら宇宙からのイケナイエイリアンをなぎ倒す特捜戦隊デカレンジャーが好き、ってな人には、良いな。仕事で疲れたときに読むために、早く文庫になってくれ。


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hasiratani [MAIL]

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