泡沫の記
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右の耳たぶが、傷になって腫れている。 そっと触ると、とても痛い。
誕生日の晩に彼が思い切り噛んだ、その傷跡。
べつに私達はSでもMでもないが、少し痛いと思った時に なんとなく生きている証のような気がして、 思い切り強く噛んで欲しいと頼んだのは私の方だった。
痛みが何より嫌いな私だけれど、 あれが夢ではなかったことを証明してくれるような気がして ぼんやりと、彼のことを思う。 考える、というより漠然とただ思う。
私が思うほど本当にいい男なのかどうかも、 もうよくわからない。
でも、いまの私は彼しか選べないと思う。
もうじき5月も過ぎ去ろうとしている。
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