プープーの罠
2006年09月02日(土)

既成事実

映画に行った翌週の週末、
早稲田君から電話がきてデートのお誘い、
ショッピングに行こうか
いいねじゃあ場所はこの前行ったあそこね
なんて言ってトントンと話は弾み
あとは待ち合わせの時間を決めよう、


それでさ、
ん?
別に、乗り気しないならいいけど。
え?乗り気じゃなくないよ。
いや、ならいいんだけどさ。
うん、買い物行こうよ。
無理に来られても、お互い気まずいじゃん?

いやだったら、別に買い物じゃなくても、
君が、いやなの?乗り気じゃないの?
違うよ。何でそうやってすぐ怒るわけ?
何で行く場所まで決めたのにそういうこと言うわけ?
だからさー、わざわざ気を遣って言ってるのに、何その態度。
…いいよ。じゃあやめよう。
何だよ、やっぱり乗り気じゃなかったんじゃん。
そんなこと言われて行きたいと思う?
は?

口論になって約束は立ち消えになった。

その次の週にまた誘われ、今度は失敗しないように、
と、映画をチョイス、

アレが観たいな。
アレもいいね、アレとかアレもいいかも。
あ、ソレいいね。まだやってるかな。
さぁ、知らない。気が乗らないなら別に観なくてもいいし。


これも流れた。

その次はメールがきて、

『もし気が向いたら、食事でもどう?
 無理には誘わないけど。』


多分、彼はわざとその言い回しを繰り返している。

気を遣っている
という様子を押しつけ、
それを嫌がる私を理解しない。
そして私も許容しない。

どうしても会いたい

くらい言ってみろ
と、思いながら
『じゃあ気が向かないからやめとく』
と答える。

そんなところで気遣いをアピールしたところで
気持ちは離れて行くだけだ。

きっとそれでもいいのだろう。
むしろ私の嫌悪の反応を見越してそう仕向け
ているのかも知れない。

物腰は悲劇のヒロイン
のごとく女々しく
僕はこんなに好きなのに彼女が冷酷だ
とでも言わんばかりの状態に
多分、意外と、彼は満足している。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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