プープーの罠
2005年12月22日(木)

派遣社員ドリーム

再び内線で呼び出され、
背中に定規でも差し込んでいる
かのようなまっすぐな姿勢のキタムラさんと向かい合う。

社内規定の派遣雇用一人当りの上限まで時給を上げた
とのこと、
いつまでも話をひっぱって申し訳ない
とのこと、

もうひとつ、
異動先は私のAチーム
ではなく、Fチームになると思います
とのこと。

あぁ、先日の
非常階段で聞いた話はこういうことか。
正直なところ、
キタムラさんのチーム
じゃないと知って私は
萎えた。

「ということで、
 契約を考えてもらえますか?」

上限
と言った。
これ以上は上げられないということだ。

「とりあえず、
 引継の期間を考えて1ヵ月は更新します
 が、今の時給ではそれ以上は
 無理です。」

いくらならよいですか?
との問いに、
提示された昇給額の3倍を答える。
本当はそこまでしなくてももう
高時給の派遣案件になっていて、
さらに昇給を要求したのは
何となく
でしかなく、

けれどキタムラさんは
「分かりました。前向きに検討します。」
と言った。

キタムラさんはギャンブルをしたらダメなタイプだなぁと思う。

直接関わったことがないチームリーダーの方が白熱している状態は
何だか引っ込みがつかなくなっちゃっただけにも見える。

結局私はこの会社では大半を
ヒマを持て余して過ごしてきた。
それほど評価できるほどの仕事量をこなしていない
のに、この過信ぶりは
異 様 である。

索引
「プープーの罠」 written by 浅田

My追加