プープーの罠
2005年12月09日(金)

切り札ネゴシエイト

1週間の猶予を過ごし、
私の考えは継続・終了
どっちでもよくなっていて、
続けたい理由もないけれど
辞めたくて仕方がないような原因もないのだ。

答えを決めないまま
約束の日にキタムラさんの元へ行き、
キタムラさんが私を見つけるなり話を中断して会議室へ向かう
姿にフロアの気配が逆立った。
それくらいキタムラさんは脅威の存在なのだ。

広い広い会議室で向かい合って座り、
満面の笑みでこちらを見据える彼に

「お断わりいたします」

と応えたのは
"来週こそは忙しくなるから"
と言ったCチームリーダーの言葉がやっぱり出任せだったから。

しかしそんな返事は見越していたように、
あっそう、と流され、理由も何も聞かれず
キタムラさんは雇用条件の向上を提示してきた。

あまりに説得されそうであれば
いつものようにオカネノハナシで解決しよう
と思っていたので向こうからあっさり
それが出てきたのは意外だった。

 それでは派遣契約はこれで終了としよう
 そして契約社員として直接雇用にしないか。
 今、派遣会社を通して君がいくらもらっているのかは知らないが、
 今、うちの会社から派遣会社に払っている金額を君に直接支払う。
 今月分の金額を参考価格として、
 それをこれから毎月月額で払うのはどうか。

今月は残業がなかったので、時給労働としては最低金額だった
けれど、そこに派遣会社の取り分である数十パーセントが上乗せになる。
ざっと換算してディレクタークラスの月給。
それは私がふっかけてみようと思っていた金額
を遥かに上回っていた。

こ、断わる理由がなくないか?
契約更新の説得を怯ませるためにオカネノハナシをする筈が
自分が怯んでどうする…!

とりあえず、
時給制がいい
長期更新はしない
という、ただのワガママ
でしかなくなった条件を提示し、
それをキタムラさんから副社長に交渉してくれるとのこと。

この時点で、
この会社の本気度を実感。
まだしばらく辞められないことを悟る。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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