プープーの罠
2004年12月17日(金)

恋文

ケータイを換えた。

ストレートであればいい
という、デザインにこだわりがある
ようでないような理由で持ち続けていた
ボロボロのケータイにサヨナラし、
nudioにした。
今までになくデザインがかわいい
けれどイマイチ愛着を持たないのはこの
ケータイを換えるということのポイントが
新しいケータイが欲しいとか
いい加減寿命だったとか
そんなところにはなく、
ボロボロのケータイは
八木君のメールで溢れていたからであり、
ストレートがいいならauのtalby
にでも乗り換えればいいものを
あっさりと折畳み型にしたのは
八木君がvodafoneだからである。


八木君と私は、カタチのあるもの
を、プレゼントしたり交換したり
したことがなかった。

誕生日、クリスマス、バレンタイン、
冬に集中しているそれらのイベント、
もう去年のことなのですけども
私達はただ一緒に過ごし、

バレンタインにはチョコレートをあげたけれど
カタチの残るものを添えたりはしなかった。
彼が欲しいものは知ってる。
けれど、欲しいものは自分で買えばいい。

いつか贈り主の思いを負担に感じるようになった時
それとは別次元であるはずのそのカタチですら
捨てなければならなくなるかも知れない
のであれば、自分の意思で手に入れ、
それ そのもの が不必要になる
まで大切にできる方がいい。

私はそういうスタンスでいた。
少なくとも今まではそうだった。

これはカタチのないものである。
紙飛行機のマークをしているけれど
それはただのピクトグラムに過ぎないし、
ビットの集合体が光に照らし出され
文字として浮かび上がったものでしかない
けれど、私はそれ削除することに
相当量のエネルギーを使い、躊躇し、
他の人のメールを読んだそばから削除して
ギリギリの空き容量をやりくりし
結局は機種交換をすることで
ボロボロのケータイ
ごと保存するに至った。

とっておいたところでもう
電源を入れることはないだろう。
けれど、捨てることができない。




森君と沖縄料理を食べる。

投げ出すように歩く足、
買ったばかりのとんがりブーツをみて
「その靴に蹴られなくてよかったー」
と森君が言ったので蹴った。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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