プープーの罠
2004年11月22日(月)

同じ空の下に今存在しているという奇遇

思い出した
ようにオオサトさんから連絡が来て
鳥料理を食べに行くことになる。

オオサトさんは取締役になった
そうで、すごく昇格した
ように聞こえるけれど今まで
役職名が曖昧で何となく総括と言っていた
ところに正式に肩書きがついた
というかんじだ。

「ところで引っ越しはどうなの?」

私は取り立てて引っ越しの話を熱心にした
覚えなどは別にないのですが、オオサトさんは
何かと引っ越しの話題に触れる。

「したいとは思ってますけどね。」
「思ってるだけか。」
「そうですね。」
「テレビは買った?」
「引っ越す時に買い直します。」
「DVDは?」
「それも。」
「でも予定はないんでしょ?」
「えぇ。でも、テレビが壊れててもDVDが見られなくても
困ったことないですから。」

「俺、今もうひとつ部屋借りようと思っててね」

家から通うのが遠くてね。
と、彼は言った
が、遠いというほど遠くはなく
通勤には各駅停車で30分、都内でそこそこ
人気のある閑静な住宅街である。

「2部屋借りる
くらいなら都心に1部屋
の方が安いでしょう。」

私は何かと引っ越しの話題を打ち切る。

ハシゴして出た外は寒い。
イルミネーションが点り始めた街なかはクリスマスの色
というと赤か緑な印象だけれど今年は青が主流らしい
としてもこの浮ついた華やかな感じはクリスマスにしか見えない。

さて次はどこへ行こうか?
明日は休みだしと手を引くオオサトさん、
もう帰りましょうと言う私、
じゃあタクシーで帰ろう
まだ電車ありますから、と駅で別れる。

特に意味があるわけでもないけれど
私はここのところ、飲むのを抑えている。


駅を出てしばらく
したところで女の人に呼び止められる。
物腰的には キャッチ というより 手相、
見れば見覚えのあるカオ
名前を呼び返すと
人違いだったらどうしようかと思った
と、彼女は破顔した。
何年振りでしょうか、
かつての飲み友達でした。
すごいタイミング
再会。
近所に住んでるみたいです。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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