2004年11月09日(火)
むかしむかしあるところで
私は信号待ちをしていた。
4車線をはさんだ横断歩道の向こう側で 一人の男が歩きながら 顔だけこちらに向けて2,3回 ぺこぺこと頭を下げたのが見えた けれど私の知り合いではない。
ふと横を見れば一人の女がそれに対して 小さく手を振り、それを見ると男は 首を前に出すように再びぺこりとして それから足早に去って行った。 女はそれを目で追うでもなく ただ普通にやりすごした。
男の少し気まずそうな雰囲気、 二人はかつて 恋人 であったのだろうか。 そういう時は意外と女の方が 平然としているものかなと、 ただ赤信号を眺めている 女の横顔を見て思う。
やがて信号は青へと変わり 女は男の来た方へ、 私は男の行った方へと曲がった。
足音 に気づいて顔を上げた瞬間 すごいスピードのものとすれ違った。 私は振り返ってその背中を見た。 先程の男だった。
女の姿はもう私からは見あたらなかったが 男は迷いもなく奔って行った。
二人はまた逢えたのだろうか。
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