プープーの罠
2004年09月03日(金)

ハピネス

忙しかった仕事のキリがよくなったので打ち上げ
だそうで、私はそんな苦労もないまま混ぜてもらう。
焼き肉食べ放題。

私はこの会社に入って以来
ろくに会話をしてはいない
のですが、派遣で来る人材の中では
ずば抜けて人当たりがいいと言われ、
最近は愛想笑いのやり方すら
忘れがちなのですが、

この会社は、私のなげやりが
そのまま通ってしまうのが
いいところであり悪いところである。

普段ろくなものを食べてなかった
ところに焼き肉
という時点で
胃がびっくりしたのでしょう。
日本酒を少し飲んだ時点で
具合が悪くなった。

トイレに閉じこもり、
何をするでもなく ただ何となく、
話を聞いているのが億劫だった
ような気もする。

この会社はみんながみんな
会社のことを考えてる。
前の会社とは正反対である。

心配してFさんがトイレをのぞきに来て、
Fさんは正社員であり、台湾人であり、
いつもいつも行動が突飛、
それはたいてい はた迷惑に見える
けれど、私は彼女のピュアさが好きだ。
彼女は私の隣に座って手をつなぎ、鼻歌を歌っていた。
アジア系の女の子独特の 跳ねるように軽い
日本語も好きだ。

彼女の歌を聴きながら、
ぼんやりとハニちゃんのことを思う。
酔うといつも思い出す。
最近お酒を飲んでいなかった。

注文したのはハニちゃんがよく飲んでいた銘柄
辛口で、私はあまり好きじゃない
けれど、よく 一緒に飲みましたね。
クラクラしながら抱き締められた
あの頃は確かに幸せだった。

何だか無性に涙が出そうで
私は気持ちが悪いからと個室に移り
便座に腰掛けて頬杖をついた。

2時頃解散、タクシー組は帰路に向かい
あとは始発待ち組、Fさんに手を引かれて
私も会社に戻り、少し休む。
ぐっすり眠るみんなを横目にふらりと帰り、
それから泥沼のように眠りにつく。

今が幸せじゃない
わけじゃないけれど、
それは今はわからない。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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