プープーの罠
2004年07月06日(火)

蜘蛛の子

オオサトさんが髪を染めていた。

オオサトさんの社員証には25才の彼が写っていて
うっすらと赤い髪の毛がかわいらしいカンジ、
 それに比べて今は
 老けましたねー
 白髪までありますよ
なんて言っていたのですが
昔に戻ったかのように
すこし赤い髪。
昔なんて知らないんだけど

そういえば先週はオオサトさんの誕生日で
「年取ったのに若返りましたね。」
とからかうと
「うるさいよ。」
と29才の彼は笑う。


森君は再び 気をとり直して
オオサトさんに「辞めたい」と言い、
それから私に言った。

つじさんもグルだ、と。

次から次へと途切れなく
辞表を突きつけてくるのを
その度に説得し続ける事態に
オオサトさんも耐え切れなくなり、
つじさんに相談を始めたのか、
森君がオオサトさんに言ったこと
が、つじさんに筒抜けだったらしく、

そうだ、オオサトさんに森君が説得されたことを、
私はつじさんから聞いていた。

私もグルか?


つじさんは電話の予告を実践しているのか
"社長に怒られない"ことに
全神経を注ぎ始めていて
言われたことを咀嚼もせずに
丸飲み にしていく。
それじゃ本末転倒であり、
その姿は
先頭に立ってみんなを引っ張りまとめていくリーダー
というよりは
主人の言う通りにヒツジを追いかけ回す牧羊犬
のよう。

命令を聞いていたら
何も意味がないのよ。

信頼しようがなくなってしまうのである。

みんながみんなに疑心暗鬼、
腹の探り合い、
だれを信じていいのか分からない、
休んでいた1週間の間に
完全に単体レベルまで
ば ら ば ら に 離 散
してしまった。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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