プープーの罠
2004年03月05日(金)

夢は夢の侭で

火曜日に彼から
『金曜か土曜に会えます?』
と、メールがあり

今日は金曜日
朝、メールをしても返事はなく
定時を過ぎても連絡はなく、
私は 特に急ぎでもない仕事を残業にしながら
ちょっと待ってみる。
結局月曜の分までやりつくし、
9時過ぎ

彼に電話をすると
久しぶりの彼
電話越しの声
「仕事は終わってるんだけど
 返事待ちなんだよね
 …

 …」

会えない
むしろ
会う気ナッシングの空気。
シャッターがぴったりと閉じていた。

「じゃまた今度ね」
私は電話をぶっつりと切り
駅に向かって すたすたと家路を急ぐ。
私はシャッターを叩いたりしない。

誘ってきたのはそっちじゃないの。
悔し涙がうっすら滲み、
私は鼻風邪をすすりながら
それを堪える。

何があったのかちっとも解らない。

もういい、もういい、
深く考えるの止める。
心を乱されるのは好きじゃない。
だったらもう忘れてしまおう。

これで終わるのかな。
始まってすらいなかった
のかも知れないけどね。

宙に浮いたまま空中分解ですよ。


金曜日、遅くない電車はまだ
それほど混んではいなく。
窓の景色はいつもと変わらず。

ふ と 思い出す。
彼、優しかったなぁ。
その途端に 堰を切ったように涙が溢れ

本当に本当に優しかった。
あの優しさが大好きだった。
とても弱い人だから、人が傷つく恐さを知ってる。
時々 それを逆手に 抉りかけてくることもあった
けれど そういうのもまるごと抱きしめたかった。
でも私にはそんな器がないんだ。
「じゃあ明日にしよっか」
たったそれだけ言えば良かったことなのに。

すごく未練があるのに
私は何で もう過去形にしているのだろう。
私は何を捨てられないんだろう。
今 ハニちゃんよりも手放したくないものなんてある?

索引
「プープーの罠」 written by 浅田

My追加