異臭
仕事をしたくなくなって、どれぐらい経ったでしょう。
会社に置いているカーディガンを持って帰ってきました。
換気ができない社内に、毎朝入る時は息を詰めてから。
少しでも野菜を取ろうと、ペットボトルの野菜ジュースを
見るたびに悲しくなります。
こんなに頑張っている人を、嫌悪してしまう自分が嫌です。

持って帰ったカーディガンを、洗濯機の上に置きました。
部屋のあちこちで、私のものでも、部屋のものでもない
異臭が漂いました。
匂いの元を真夜中に洗濯しました。
そしてまた眠れなくなりました。

彼に話すと末期症状だねと言われました。
私だけ先に大阪に帰るのがいいかもしれないと。
解決策は浮かびません。
ずっと前に一人で動かないと決めました。
同じ過ちを繰り返したくないのです。
動く気力も体力もなく、その後の生活に不安を抱えたまま
やみくもに動きたくありません。

自分の顔を接写してみました。
鏡に映った私と、レンズが捉えた私は全くの別人でした。
おおげさに口角を上げ、表情を作っても観るに耐えないものでした。
疲れて精気のない不機嫌そうな顔がありました。
人から見た私は、こうなんだと思いました。
その2日後、会社に訪問者がありました。
 彼女は20代?
私が帰った後、こう言ったそうです。
口のうまいその人のお世辞は、私をより打ちのめしました。
とげとげしい言葉でしか話せない私は、
その人の目、腐ってるんじゃないの?と言いました。
腐っているのは私なのに。

真夜中に、戻れるならいつの頃がいいか考えてみました。
いつがよかったのか、どの時代を浮かべても戻りたいと
思えませんでした。
どの時代をやり直したいか、考えてみました。
私が私でいる限り、ダメだと思いながら同じことをしてしまいそうで
だから、今までやり直したいと思わなかったことに気づきました。

こんな私を愛してくれる彼がいます。
こう思えば感謝しなければいけないでしょう。
それでも彼を信じきれないのです。
自分と彼のこれまでを振り返ると、もういい加減にすれば?と
囁く誰かがいるのです。
他の誰も欲しくない。
彼だけを欲しながら、何もかも投げ出したくなります。
恋しいのは彼だけなのにです。

2005年08月31日(水)

初日 最新

Copyright(C)2004- you All Right Reserved.