だからこそ






彼に尋ねてみた。
どうして唐突に過去のことを言うの?
彼は答えた。
過去の男、全部に嫉妬するから。

誰にも触らせたくない。
誰にも触れさせない。

*** *** *** *** ***

ここで書き出した日記を、読み返した。
彼と今年初めに再会した日を思い出し涙が零れた。
あの日、あの場所で聞いた、彼の言葉を思い出した。
いつのまにか窓の外が白み始めていた。

*** *** *** *** ***

今月初めから、彼を悩ませていた問題。
ようやく解決のめどが立った。
ことの始まりから、毎夜聞いて、私なりに
思うところを話していた。
対人関係は難しい。
仕事上のそれは、各々の立場、目論見、プライドが
ぶつかりあう。
彼を心から愛している。
だからこそ、彼の意見に同調するだけじゃない。
それは違うんじゃないのと、いつまでも言える自分
でありたい。

*** *** *** *** ***

彼の嫉妬は、私を悲しませる。
なかったことにしたくても、過去は消せない。
過去があるからこそ、彼に言えることがある。
これからの彼とのために。
私に触れる人は、彼以外いない。
再開したあの日から。
身体だけでなく、心も、思考も。

2005年05月21日(土)

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