筥迫と詩人
着付けを終えたばかりの小さな女の子を見た。
胸に挿した筥迫を見て、遠い昔の自分を思い出した。
筥迫についた飾りが好きだった。
銀色の揺れる簪。
結髪に挿した簪より、懐で揺れる簪が好きだった。
着付けの最後、胸元に筥迫を挿されると
引き締まった気持ちになり、背筋が伸びた。
自分では懐剣を帯びた気になっていた。
ただのちり紙入れだと教えられていたのに。
きっと添えられていた銀の簪の切っ先が
そんな気持ちにさせたんだろう。
ある人の日記を最初から読ませて頂いて
うーを思い出した。
そして、うーのサイトを久しぶりに覗いた。
月に一度か二度しか更新しない。
まだ若いのに、傾倒している詩人に影響されていて
ますます書き方が大正浪漫なものになっていた。
矢絣に角帽、そんな風貌が似合う文体。
「無花果のタルトを食した」感想を本人から
直接聞いてみたい。
一緒に歩いた地下街を思い出す。
2004年10月10日(日)
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