彼からの短いメール
また、メールが届いた。
何事もなかったように。
時間の経過もなかったように。
台風が来てるね すぐに通り過ぎるから大丈夫だよ
こっちは 風と雨がすごくなってる
すぐに通り過ぎるから心配してないけどね
あなたが無事でいられるよう祈ってるよ
ずっと前に、私が台風や停電の時、どれだけ心細かったか
訴えたのを思い出したんだろう。
先月の台風の時もメールが来た。
こんなふうに思いたいのは、彼がメールを寄越した気持ちを
勝手に想像しようとしているから。
彼が書いたのは、こんな理由からだろう。
彼が言ったのは、こんな理由からだろう。
いつもそうだった。
確かめることなく私が勝手に思い込んだ。
今回メールを読んで最初に思ったのは
『何、これ?』だった。
はっきり言って、おかしい、変だと思った。
ずっと前に訴えたことを、今も同じだとメールしてきたこと。
別れてずいぶん経つのに、毎日顔を合わせてるように
突然、これだけ書いてきたこと。
たった4行のメール。
オンナは、相手の気持ちを相手以上に思い遣る。
そうした上で、突き放したり、かまったりできる。
私の場合はもっとたちが悪い。
勝手に深読みするなと君が嫌がるくらいに考える。
彼が寄越した理由を探ろうとする。
返事が欲しい?
自分も心配してほしい?
自分の気持ちを伝えたかった?
心配してると伝えたかった?
読んでしばらくは、意地悪な気分が続いた。
欲しかった時にもらえなかった言葉を
今更もらったところで、私は嬉しくない。
そっちが何事もなかったように
昨日からの続きのように数行のメールを寄越すなら
私も3週間ほど経った頃に、返事してやろう。
今は、こんなメールをもらったことが
嬉しかったり悲しかったりの半々だ。
*** *** *** *** ***
親から葉書が届いた。
これも、私の気分を落ち込ませる。
私がまだ幼い赤ん坊のような錯覚に陥っているようだ。
小さかった頃の写真を毎日見ると書いてある。
不気味だし、不愉快だ。
だけど反面教師になった。
息子に向かって「小さかった頃のおまえを思い出す」と
言って、うざがられるのと同じだ。
親に向かって、はっきり言いたい。
痴呆症か?と。
自分の言葉に酔うな、と。
吐き気がすると言ってやりたい。
言う代わりに憎しみを込めて、葉書を粉々に破いた。
2004年08月31日(火)
≪
≫
初日
最新
Copyright(C)2004- you All Right Reserved.