帰りたい
元々、人ごみがキライ。
大人数が同じ空間に、詰め込まれてるのがキライ。
だけど、たくさんの人の気配を感じながら
一人、離れた所にいるのはスキ。
ここに来てからの交通手段は車だけ。
その車も君のモノ。
駅まで車で20分。
それも都会の20分じゃない。
バス停まで徒歩10分。
そのバスは1時間に1本?
興味がないから、時刻表は見たことがない。
私が子供の頃、それも幼稚園くらいの頃見たような
古ぼけた、くもの巣が張っていそうな、停留所。
以前、通るだけと連れて行ってもらった駅前には
何もなかった。
人もいなかった。
私は、夜明けまで人工の灯りで満ちてる場所にいた。
徒歩2分で都銀が3つも4つもあるところ。
徒歩10分で、JRに乗れて
地下鉄はプラットフォームを
歩いていると、次の電車が来た。
本気で今日はケーキが食べたいと思った。
メリッサのオペラ。
キースマンハッタンのデイジー。
ホテルのティールームはどこ?
アーケードはどこ?
東急ハンズはどこ?
ネットのショップを見た。
配送できるのは、焼き菓子や、チョコ、アイスクリーム。
ねぇ、私、ケーキが食べたい。
ここには何もない。
郵便局も、ポストさえない。
ウィンドウショッピングする店なんて、とんでもない。
これまでも滅多に服は買わなかったけど
今は必需品すら買う店がない。
ランジェリーは?靴下は?ストッキングは?
どこに行けばいいの?
ショッピングセンター?
片側4車線の道路。
通りに並ぶ直営ショップ。
どんどん記憶が曖昧になる。
ここにあるのは、聞いたことのない名前のコンビニ。
まだ潰れずにあったんだと、驚いた、弁当屋。
喫茶店を見たことがない。
ブティックがない。
ショップがない。
前の場所は、中途半端な都会もどきでうんざりした。
だけど、デパ地下は仕事帰りに寄れた。
ここにあるのは、TUTAYAとダイソーとbook offだけ。
私が見た、唯一、人のいる場所。
ここは何もないけれど、もれなく俺がついてくる。
そう言ったのは、いつだっけ。
海に行った日曜は、何週間前だっけ。
仕事の話しかしない。
君は休日を取らない。
365日、仕事してる。
私は今日、本気で言ったよ。
帰りたいって。
帰る場所ないんでしょ?
うん
だけど、今までもそうだったように
また、一人で部屋を借りればいいじゃない。
昨日は、誰ともしゃべらなかった。
なぜなら、君から電話がなかったから。
平日も君としかしゃべらない。
なぜなら、他の人と話したくないから。
気晴らしも、気分転換も、しようがない。
どこに行くにも、君に頼まなければ行けない。
タクシーなんて見たことない。
タクシーを呼んで、駅まで行って
迷子になりながら、駅を歩き回って
窓口で切符を買って
私はどこに行けばいいんだろう。
蒸し暑さだけ、都会なみだね。
コンクリートジャングル?
ヒートアイランド現象?
ここは、ド田舎だよ。
長距離トラックが24時間走ってる。
何が悲しくて、こんなうるさい場所にいるんだろう。
田舎なら田舎らしく、静かに過ごさせてほしい。
窓を開けられないのは、外の熱気のせいでなく
テレビの音が聞こえないほどの車の騒音のせい。
何もないのに、うるさい環境。
タクシーを呼んで、駅まで行って
迷子になりながら、駅を歩き回って
窓口で切符を買って
私は、帰りたい。
2004年07月05日(月)
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