気温は16℃とそう高くはなかったが
風もなく穏やかな晴天となる。
朝の峠道を越え山里の民家が見え始めると
南天の紅い実がとても鮮やかに見える。
縁起物だけあって庭先に植えている家が多い。
山里にはかつて私達家族が住んでいた官舎があったのだが
今は取り壊され砂利を敷いた更地になっている。
ブロック塀は残っておりその傍らで犬を飼っていた。
父が狩猟を趣味にしていたため買い求めた洋犬であった。
しかし短命だったのか飼ったのは3年程である。
とても大きな犬で「ゆう」と云う名だったことを憶えている。
職場の直ぐ近くなので度々更地の前を通るのだが
当時にも確かにあった南天がたわわに実を付けている。
官舎は取り壊しても植木はそのまま残してくれたのだろう。
それが計らいだったのかは知る由もない。
今はもう母に訊くことも出来ないがきっと憶えていたのに違いない。
「赤い鳥小鳥なぜなぜ赤い。赤い実を食べた」母の歌声が聴こえるようだ。

朝のうちに車検を済ませ義父は歯医者さんへ行った。
同僚は次の車検整備に取り掛かっており工場は活気に溢れている。
来客もあり私もあれこれと対応に追われる。
支払いに来てくれたお客さんは神様のように思えた。
明日は自賠責保険と重量税の精算があり全てが立替である。
資金繰りは思うように行かず頭を悩ませていたところだった。
午後から運転免許証を受け取りに市内の警察署へ赴く。
「優良講習」なので30分程で終ったが
もう職場へは戻らずそのまま休ませて貰った。
更新された免許証の写真を見て我ながらぞっとする。
何と醜いことだろう。とても遺影には出来そうにない。
今までは古い免許証も持っていられたのだが
今回は回収され手元には戻って来なかった。
気に入っていた写真だけに残念でならない。
カーブスへ行くつもりだったがまだ時間がたっぷりとあり
買い物を済ませ一度帰宅してから市内へ向かう。
カーブスは昨日臨時休業だったそうで大勢のメンバーだった。
もちろん知らない顔の人ばかり。それも新鮮に思える。
やはり平日に身体を動かすと元気溌溂となるようだ。
また木曜日か金曜日に来ようと思う。
土曜日に仕事を休むのはもう止めた方が良さそうだ。
帰宅して茶の間で情報番組を見ていたが
昨夜の青森の地震はどんなにか怖ろしかったことだろう。
幸い大きな被害はなかったようだが「被災」には違いない。
深夜のことで眠れぬ夜を過ごした人も多いと思う。
その上に「北海道、三陸沖後発地震情報」が発表された。
また近いうちに大きな地震が襲って来るかもしれないのだ。
どんなにか不安で心細いことだろう。
明日は我が身と思いながらとても他人事ではなかった。
平穏無事は決して当たり前のことではない。
「おはよう」の笑顔も温かな食事もお風呂も
お布団に潜り込んで朝までぐっすりと眠ることも。
忽ちのうちに叶わなくなる日がきっと来るのだと思う。
命だけは何としても守らなければいけない。
何があっても生き抜くことを一番に考えようと思う。
※以下今朝の詩
おむすび
おむすびころりん どこまでもころりん
坂道を下っている つんのめりそうな道 足を踏ん張って歩く 一歩一歩ゆっくりと
いっそ転んでしまえば 早く着くだろうと思う 待っている人が居るなら 尚更急がねばならない
冬枯れた景色をあおぐ それは灰色に見えるが 空に包まれているよう
おむすびころりん どこまでもころりん
どれ程の距離だろうか 遠ければ遠いほどに 希望の陽射しが降り注ぐ
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