花曇りの一日。気温は20℃まで上がり過ごし易かった。
民家の畑には菜の花が咲き大根の白い花も見える。
もう冬野菜の時期は終ったのだろう。
次は夏野菜である。胡瓜、茄子、トマト等楽しみなことだ。
峠道を越え山里の最初の集落を通り過ぎた処にトンネルがあるのだが
その入り口付近に二人連れのお遍路さんが居て一人は座り込んでいた。
外国人の男女であったが心配になり声を掛けずにいられない。
「大丈夫ですか?」さて英語では何と言えば良いのだろう。
咄嗟に「ユアオッケイ?」と車を停め駆け寄って行く。
するとそれが通じたのか女性のお遍路さんが「オッケイ」と応えてくれた。
男性のお遍路さんは靴下を脱いでおり真っ赤に腫れた足を見せている。
酷い靴擦れらしく血豆が出来ているようだった。
「どうか無理をしないで下さいね」その一言が英語で言えない。
何ともどかしいことだろう。「オッケイ」ばかりを繰り返す。
すると辛そうにしていた男性のお遍路さんがにっこりと微笑んでくれた。
それが大丈夫の合図だったのだろう。もう心配はなさそうだった。
「グッバイ」と声を掛けて車に戻れば二人が手を振ってくれていた。
思い切って声を掛けて良かったのだなと思う。何とも清々しい朝のこと。
今日は仕事中にも外国人のお客さんの家を訪ねていた。
車検証を届けに行っていたのだがコナンは仕事に出掛けていて留守である。
奥さんのキャットは臨月になっており大きなお腹を庇うようにしていた。
部屋にはベビーベットを据えており何と微笑ましいことだろう。
赤ちゃんは女の子だそうでそれはそれは楽しみにしているようだ。
けれども初産で不安なこともあるだろうと気遣わずにはいられない。
キャットは随分と日本語が話せるようになっており車検証の説明もする。
ダッシュボードに保管するようにと伝えたら「ハイワカッタ」と頷く。
車検時には車検証を紛失していたので説明は大切なことだった。
出産予定日は来月の28日とのこと。ちょうどあとひと月である。
何かお祝いをしたくてならない。もちろん赤ちゃんにも会いたかった。
若い二人が故郷を離れ日本に永住するのは並大抵のことではない。
それも都会ではなく田舎の小さな山村であった。
古民家に暮らしているが不便なことも多いのではと察する。
大きな地震でも来れば忽ち潰れてしまいそうな古い家だった。
村ではリフォームをした空家を貸し出しているが
もしかしたら家賃が高いのかもしれない。
仕事を探すのも大変でコナンは農園で働いているのだった。
生まれて来る赤ちゃんのために必死の思いをしていることだろう。
村の行政が少しでも助けてやれないものかと思う。
コナンもキャットもれっきとした村民なのだ。

今日は早めに帰れたので夫と「子連れ狼」を見ていた。
大五郎の見ている目の前で刺客の役目を果たす拝一刀であったが
幼い心にそんな父の姿がどんな風に映っているのか気になった。
「時代劇」の一言では済まされない何とも複雑な思いである。
私があれこれと口出しをすると夫は白けるらしい。
「たかがテレビじゃないか」と今日も飽きれたように笑い飛ばしていた。
朝の道の「良心市」で今年初の「タラの芽」を買い求める。
娘が早速天婦羅にしてくれて何と美味しかったことだろう。
天つゆよりも塩が良くいくらでも食べられる。
この季節ならではの旬の味ほど幸せなことはないのだと思う。。
夕食後、自室の母の遺影に手を合わせ「今週もお疲れ様」と手を合わせた。
母のおかげで乗り越えられた日々である。
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