幾日ぶりだろうか久しぶりに爽やかな秋晴れとなる。
気温は24℃と高めであったが蒸し暑さもなく過ごし易い一日だった。
今朝は出勤すると看板猫の「みい太」が運搬車の荷台に座っていた。
「そんなところで何しよるの?降りて来なさいや」と声を掛けると
私の言葉が通じたのか直ぐに飛び降り来て「みゃおう」と鳴く。
さあ朝ご飯の時間である。猫係の常連のお客さんの車が見えると
駆け寄って行って餌の催促をするのだった。
お客さんも毎朝の楽しみにしており何とも微笑ましい光景である。
夏の間は少し食欲が落ちていたが最近はよく食べるようになった。
量が足らない時もあり「もっと食べたい」としきりに鳴き出す。
「癖になるけんやったらいかんぞ」義父からのお達しであるが
追加の餌を与えないとそれはしつこく追い掛け回すのだった。
こちらが根負けしてこっそりと餌を与えたらまたガツガツと食べ始める。
それも愉快でならず朝から笑顔が溢れる職場であった。
独り暮らしの義父にとっては家族も同然になっており
みい太のことを話す時の義父の穏やかな顔がとても好きだなと思う。
「金は天下の回り物」今日もまるで奇跡のように転がり込んでくる。
丁度一年前のタイヤ代を支払いに来てくれたお客さんもいた。
車検完了のお客さんは即金でありどれ程助かったことだろう。
月末の支払いどころか来月末の支払いも出来そうになる。
これを安泰と云わず何と言おう。まるで夢を見ているようであった。
母のおかげだとしか思えない。ずっと見守ってくれているのだ。
生前はお金の苦労ばかりしていたからこそ私の苦労が分るのだろう。
神様仏様よりも「お母様」であると昨日からずっと感謝している。
明日の準備は整い肩の荷が下りたが、根っからの不安症な者だから
今日死んだらどうしようと思い始めていた。
帰り道で交通事故に遭うかもしれない。今夜突然死するかもしれない。
死ななくても夜中に強盗に襲われお金を全部盗られてしまうかもしれない。
考え出したら切りがなく不安で一杯になってしまった。
大げさな話だが何としても生きて明日に臨まなければいけない。
お母様がきっと守ってくれるだろう。やっとそう思えるようになった。
黄昏時に一番星を見つける。それがとても不思議に輝いていた。
蝋燭の炎のように見えたのだ。それもゆらゆらと揺れているではないか。
目の錯覚かもしれないとも思ったがそれは確かに星の輝きであった。
死んでしまったら何もかも終りとは限らない。
魂はより近くに在り愛しい者たちを守ろうとする。
時には身代わりになり再び死ぬこともあるだろう。
けれども魂は永遠であり夜空の星の如く決して消えることはない。
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