午後6時40分。ほうずき色の空にか細い三日月が浮かんでいる。
まるで絵本のような風景をうっとりと眺めているところだ。
朝晩の涼しさは日に日に増しているが日中は厳しい残暑となる。
江川崎では今日も36℃を超え猛暑日だったようだ。
全国一かなと思いきや上には上があるもので熊本市がトップだった。
暑さに勝ち負けはないがついつい気になってランキングを見てしまう。
朝食時、夫が久しぶりにラーメンを食べに行くかと言ってくれ嬉しい。
宿毛市郊外の「一風」まで20分程だがドライブも楽しみであった。
車中では娘達の噂話である。「いったいいつまで居座るのか」などと
家では話せないことを意気投合して語り合うのだった。
お互い肩身の狭い思いをしておりそろそろ限界を感じている。
「一風」ではラーメンセットを注文した。
けれどもいつもと何となく違う。
ラーメンに煮卵が入っていなかったり炒飯も味が薄かった。
もちろん文句など云えず黙々と食したのだが
調理を手伝っている奥さんが不慮の怪我で足を骨折しているのだそうだ。
全治一ヶ月とのことどんなにか不自由を強いられていることだろう。
パートの女性が手伝いに来ていたが奥さんと同じにとはいかない。
かなり高齢のようで腰が曲がっているのが見えた。
どんな時もあるものだ。それでも必死の思いで切り盛りしているのだろう。
いつもと味が違うなどとどうして云えようか。
月末に母の一周忌を控えており会食の予約を済ませて来たが
その頃には奥さんも復帰出来そうでほっとした。
忙しい目に遭わせてしまうが他に頼るところもないのだった。
満腹になっていたせいか午後はひたすら寝て過ごす。
自分でも異常ではないかと思うほど酷い眠気だった。
午後4時前にやっと目覚める。なんとも気怠い。
よっこらしょと起き上がり日課の短歌を書くことにした。
しかし頭の中が真っ白になっており何も浮かんで来ないのだ。
上の句は出来ても下の句が出来ない。正直辛かった。
こんな思いをしてまで書かなければいけないのかと思う。
強制しているのは他の誰でもない自分自身なのである。
そんな自分を無視することがどうしても出来ない性分であった。
負けるもんかと思う。何としても書き上げようと努力する。
40分かかりやっと3首書き終えた時には心地よい達成感があった。
ネットの海に浮かべると雑魚であってもすいすいと泳ぐ。
鯛やヒラメには敵わないが海でしか生きられないのである。
その「いのち」をどうして粗末に出来ようか。
花すべりそろそろ顔を伏せる頃昼間の夢は恋だったのか
灼熱を鎮めるように吹く風は夏を追いやる息ほどの秋
猫じゃらしゆらゆら揺れて語り合う野に一筋の光を求め
|