夜明けが随分と早くなり4時半にはもう辺りが白み始めている。
そうして早起きの燕たちが声を揃えて一斉に鳴き始めるのだった。
今朝は少し肌寒かったが日中は28℃まで気温が上がり暑くなる。
春はもう遠い処に行ってしまったのだろう。
指切りもしないまま別れてしまった。
今朝も母の遺影に願い事をしてから出勤する。
きっと母が助けてくれるに違いないと信じていたのだった。
闘病中もずっと仕事の事ばかり気にかけてくれていた。
今もはらはらしながら見守ってくれていることだろう。
山里の職場に着くとしっかりと義父の姿があった。
思わず「お母さんありがとうね」と心の中で呟く。
いきなりであったが宿毛市の外注先に義父と出掛けることになった。
急ぎの仕事だったので義父が動いてくれてどれほど助かったことだろう。
段取りもすべてしてくれて私は大船に乗ったような気分である。
その後もお昼までに検査をしてくれて無事に納車を済ませた。
昨日とは打って変わって目まぐるしいほどの忙しさであったが
嬉しくてならない。どんどん順調に仕事が片付いて行く。
午後はまた取引先に用事があり私一人で宿毛市へと走る。
一日に二度も宿毛市へ行くのは初めてのことだった。
大切な書類を預かり速達で高知市の代書事務所に郵送する。
これでやっと今週の仕事が無事に終わったのだった。
遣り切った感が半端ない。なんと心地よい達成感だろうか。
3時過ぎに退社。FMラジオからは浜田省吾の歌声が流れていて
うっとりと聴きながらなんだか涙が出そうになった。
男だとか女だとか恋だとか私には無縁のはずなのだけれど
切ない気持ちは幾つになっても変わらないのかもしれない。
私には私の鍵があるけれど時々何処かに置き忘れる。
4時半に帰宅。小学校の保健室の先生が来てくれていた。
あやちゃんがにこにこしながら話していてとてもほっとした。
気分転換になったのかその後も上機嫌で「今夜は何?」である。
「ポークステーキ」「ジャーマンポテト」「ちく胡」などなど。
胡瓜が好きなので「ちく胡」が嬉しかったのか笑顔で頷いてくれた。
あやちゃんにも鍵があるのだ。合鍵は誰も持っていない。
無理やりこじ開けるなどもっての外である。
鍵を掛けることで自分を守ろうとしているのだろう。
それは私も同じだった。けれども大人なので来るものは拒めない。
でも踏み荒らされるのは嫌である。なんとしても阻止したい。
日々ネット空間を彷徨っていると思いがけないことがいっぱいある。
心の琴線に触れるような出会いもあれば
逃げ出してしまいたいような出会いもあるのだ。
どれも縁なのに違いないがそこには安らぎが必要に思えてならない。
安らいでこその「ふれあい」なのではないだろうか。
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