雨上がりの晴天。気温は高くなったが風の強い一日となる。
満開を過ぎた躑躅(ツツジ)が少しずつ枯れ始めた。
5月になれば皐月(サツキ)だろうか。
バトンタッチをするように花は咲き季節を知らせてくれる。
夕飯の支度をしていたら母の施設の看護師さんから電話があった。
母が発熱とのこと。40℃近い高熱と聞きおどろく。
今夜は抗生剤で様子を見て明日血液検査をするのだそうだ。
コロナの症状は見られずPCR検査は行わないらしい。
急変があれば夜中でも知らせてくれると言っていたが
気になって眠れないかもしれない。いや、眠ってはいけないようでもある。
いくら薄情な娘でも心配でならなかった。
そのくせ正直に言えば「もういいかな」とも思っている。
もう85歳の母のことだ。私はいつだって覚悟をしているつもりである。
家族のことでも心配事があるがここに記すことは控えたい。
書かないことが守ることのように思えて慎重になっている。
あやちゃんは年頃の傷つきやすい少女になった。
腫れ物に触るような日々がずっと続いている。
心配事ではないけれど困ったことは子豚を飼っていること。
自ら養豚場の経営者になっていることだった。
廃業したいと何度思ったことだろう。
世間では「まだやっているのか」と批判の声も聞こえて来る。
聞こえは悪いが餌を仕入れず横領しているという噂もある。
それは事実であるだけにもはや身の置き所がなかった。
いっそ豚コレラでも蔓延してくれたらと願ってしまうのだった。
「今日こそは」「明日こそは」と言い続けてもう幾日経ったのだろう。
最初のうちは好評だった子豚シリーズも下火になってしまった。
それはどれほどの人が呆れてうんざりしているかの証拠でもある。
そんな誰よりもうんざりしているのは子豚自身であった。
今日も駄目だった。明日も駄目かもしれない。
それでも立ち向かう気力だけはまだあるようである。
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