雨の一日。大降りにこそならなかったが桜は殆ど散ってしまった。
艶々と輝いているのは柿の若葉。まるで葉が花のようである。
躑躅が咲き始め藤の花も咲き始めた。まさに春爛漫のこの頃のこと。
朝の山道では6人のお遍路さん。雨合羽は着ているが足元はずぶ濡れ。
幸い荷物は少なく民宿泊のようでほっとしたことだった。
帰り道の県道ではなんと25人のお遍路さんが歩いていた。
団体のお遍路さんを見かけたのは久しぶりのこと。
指折り数えながら追い越していくと道端に大型バスが停車していた。
バス遍路なら叶うかもしれないとずっと憧れていたけれど
この足ではもう無理かもしれないと思った。
手術さえすれば完治するらしいがそれはいったいいつのことだろう。
焦っても仕方ないが前途は思うように明るくはならなかった。
昨夜は真夜中に左足がつって激痛が走る。
眠っている夫を起こし大騒ぎとなってしまった。
痛みが治まるまでマッサージをしてくれてなんと有難いことだろう。
これがもし独りきりの夜だったらと思うと不安でいっぱいになった。
夫を失うのが怖くてたまらない。考えただけでパニックになる。
それでなくても足の爪を切ってもらったり靴下を履かせてもらっている。
夫をどれほど頼りにしていることだろうか。
今夜は子豚のことには触れずにいようと思っていたのだけれど
どうしたわけか「子豚シリーズ」が好評で少し戸惑っている。
豚もおだてれば木に登るではないが調子に乗らずにはいられない。
子豚の寿命が後どのくらいなのか定かではないけれど
もはや冥途の土産になることは確実だろうと思っている。
こんな子豚のために清き一票を授けて下さり本当に感謝している。
餌を与えればとことん食べ尽くす子豚であった。
同僚はまるで養豚場の経営者のようでもある。
今頃明日の餌の準備に頭を悩ませていることだろう。
もうこそ最後にしようと思う気持ちも分からないではないが
子豚を憐れに思ってついつい情けをかけてしまうかもしれない。
子豚は同僚を信頼しているが彼にとってはもはや腐れ縁だろう。
無視したり放ってはおけない存在になってしまっているのだと思う。
明日のことは分からないがおそらく子豚は生きているだろう。
終わらない煙草はないがそれが明日だとは限らない。
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