2019年08月13日(火) |
怖気づいていてどうする |
昼間は青空が見えていたけれど風がとても強くなって来た。
やっとの思いで「迎え火」を焚く。
それもつかの間のことでかたちばかりのものとなる。
どうかどうか無事に帰って来てくれますようにと
祈るような思いで皆で手を合わせた。
台風の直撃は免れそうにもなく恐怖心がつのるばかり。
過去に大きな被害をもたらした台風と同じコースのようだった。
停電も覚悟しておいた方が良いだろう。
来るなら来てみろと思いながらもやはり恐怖心が勝る。
「困ったね、困ったね」と私が嘆いていたら
「来てみないとわからないだろう」と笑い飛ばすじいちゃんだった。
そうね。来る前から怖気づいていてどうするとやっと肝がすわった。
消防団を引退したじいちゃんが家にいてくれる。
それだけでどんなにか心強いことだろうか。
今日は午前中で仕事を終えて母のアパートへ行っていた。
最近病衣を嫌がるようになっていて普段着が着たいと。
介護士さんもそれを勧めてくれて母の衣類を取りに行く。
けれども部屋には冬物ばかりで夏物が見当たらず。
それもそのはずだった。カレンダーは3月のまま。
もうそんなに月日が流れてしまったのかとせつなく思う。
汗だくになりながらやっと見つけた衣装ケース。
母のお気に入りの夏服を見つけてほっと嬉しさが込み上げてくる。
その足で母の施設へ向かったのだけれど
「わたしは着せ替え人形ね」とおどけて見せる母だった。
そうして矢継ぎ早に「バナナもないの」「朝鮮漬けは?」と。
介護士さんが「娘さんも忙しいのよ」と助け船を出してくれる。
そう、もうほんとうにくたくただった。
介護士さんの助け船にどんなに救われたことだろう。
母は大きな台風が近づいていることも知らない様子だった。
知らなくて良かったと思う。どうかどうか心穏やかにと願うばかり。
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