夜明け前のつかの間の涼風をたのしむ。
いつものように朝が来る。
それは決してあたりまえのことではなくて。
孫たちを保育園に送り届けてから山里の職場に向かう朝。
国道で友人の車を見つけて思いっきり手を振る。
友人も窓から手を出して千切れんばかりに降ってくれて嬉しかった。
にっこりと微笑みながら山道に差し掛かると
今度は毎朝すれ違っている知人に会ってまた手を振り合う。
そんな何でもないようなささやかなことに元気をもらった朝。
山道をくねくね。峠道をよっこらしょと越えると
いつものように山里の景色が一面に広がっている。
大好きな一本杉が約束していたように今朝も迎えてくれた。
母は昨日無事に退院したけれど、しばらくは自宅療養を。
今回だけは母もそれを覚悟していておとなしくしていてくれる。
お昼に電話があって「エアコンが壊れて暑くてたまらない」と。
どうやらリモコン操作を誤って暖房にしていたようだった。
すぐに駆けつけられないもどかしさ。電話でゆっくりと説明して
やっと冷房に切り替わる。「涼しい風が出て来た」とほっとする。
仕事を終えてから母に会いに行く事も不可能ではないけれど
あえてそれをせずまっすぐに帰路に着く親不孝な娘だった。
何がよくて何が悪いことなのかわからないまま
今日も精一杯の自分だった。
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