朝からどしゃ降りの雨。はらはらと怖ろしくなるほど。 雨雲の上のおひさまもどんなにか微笑みたいだろうに。
数日前の夜のこと、ふと古いアルバムを開いてみた。 それは遥か昔の私のアルバム。赤い表紙の小さなアルバム。
写真を撮るのが好きだった父がたくさん撮って残してくれていた。 生まれたばかりの私。母に抱かれて命そのもののように安らいでいる。 そんな写真の数々に母が記したのだろう添え書きがしてあった。
「寝返りが出来るようになりました」「お座りが出来るようになりました」 「少し眠くなったようです」「よく太りましたね」
胸がいっぱいになって涙がぽろぽろとこぼれた。 その頃のことはもちろん憶えていないけれど、なんて懐かしいのだろう。 そうして自分が両親の愛情をいっぱいに受けて育ってきたことを改めて知った。
お父ちゃんありがとう。お母ちゃんありがとう。 それ以外にどんな言葉も見つからなかった。
今日はそのアルバムを母に見せたくなって山里へ持って行く。 母も目頭を押さえながらとても懐かしそうに見入っていた。
どんなに赤い服を着せても男の子と間違われたんだよ。 ほらほらこの服はお母さんが縫った服だよ。
そこにはよちよち歩きを始めたばかりの幼い私がいた。
そんな私にカメラを向けていた父の笑顔が目に浮かぶ。 母は私の名を呼びながらすぐそばにいてくれたのだろう。
私は決してひとりでおとなになったのではないのだとつくづく思った。
今があるのは両親のおかげ。たくさんの感謝をこめてそっとアルバムを閉じた。
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