山里の職場の庭に純白の芙蓉の花がたくさん咲いていた。 あいにくの曇り空だったけれど空に向かって微笑んでいるよう。
芙蓉は確か一日で萎れてしまう花ではなかったか。 そう思うとなんだかよけいに愛しさが込み上げてくる。
けれどもたくさんの蕾。明日もきっと咲いてくれるだろう。
帰宅すると久しぶりに息子が顔を見せてくれた。 いつもの愚痴もなく明るい表情にほっとする。 三人でわいわい言いながら夕食を食べた。 例のごとく食べ終るとすぐに帰ってしまうのだけれど。 「しんちゃん、またいつでも来たや」と慌てて声をかける。
嵐のような子だねと夫と顔を見合わせて微笑みあった。 そうそう、いつも風のように去って行くのだものね。
あんずの晩ご飯。今日は好物の竹輪にしてみた。 ドックフードは見向きもしないのでしばらくは好物ばかり。 思ったとおり飛びつくように食べてくれたのだけれど、 急いで食べたのがいけなかったのか喉に詰まらせてしまった。 しばし苦しんだあげく結局吐き出してしまったのだった。 いくら好物でも竹輪はもう駄目かな。柔らかいものにしないといけない。
少しずつ元気になっているようでもまだ本調子ではないようだ。 けれども昨日よりも少し多く歩けるようになってほっとしている。
彼女も辛いだろうと思う。好きな物を食べられなくなったり。 大好きな散歩道を思いっきりぐんぐんと歩けなくなってしまったり。
出来ていた事が出来なくなるという事はほんとうに辛いことなのだ。
彼女の老いを自分に重ねる。出来ないことは仕方ないこと。
それにこだわってはいけない。まだ出来ることはきっとたくさんある。
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