川辺には白い野ばらの花がたくさん咲いている。 天使のような花だなと思う。棘のあることなど忘れて。 それはきっと身を守るためのものだろう。 近寄りがたいと思う人もいるかもしれないけれど。
花はふっくら。蝶々もふれていく。みつばちも遊んでいく。
そんな野ばらのことがわたしはとても好きだなと思う。
出産祝いにいただいた産着を洗った。 干す時のなんと嬉しかったことだろう。 お人形さんの服みたい。ちっちゃくて可愛い。 道行く人がみんな見てくれたら良いなって思った。 「生まれたんですよ」って声をあげたいような気持ち。
あたらしい命は「綾菜」と名付けられた。 「あやちゃん、あやちゃん」と連呼するおばあちゃんであった。
母乳をほんの少しだけれど飲めるようになった。 哺乳瓶よりもずっとチカラが要るのだろう。 はあはあと小さない息をしながら一生懸命に吸っている。 「がんばれ、あやちゃん」娘と二人で声を掛け続けていた。
ちいさな命が必死で生きようとしているのが伝わってくる。 母親の乳房はあったかくてやわらかい。そして何よりも優しい。
授乳している娘の顔は愛をそそぐように微笑んでいた。
おばあちゃんは涙が出そうなくらい胸がいっぱいになる。
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