| 2012年05月01日(火) |
お遍路さん(その12) |
今日も雨。五月雨というべきか菜種梅雨というべきか。 川向の山々が雨にけむりなんともいえない風情があった。
傘をさして今日もお大師堂にお参りに行く。 途中で大きな荷物を手押し車に乗せて歩くお遍路さんと一緒になった。 挨拶をするとにっこりと笑顔。声を掛けて良かったなって思った。
道案内がてらしばし一緒に歩いていたのだけれど。 あと20メートルほどで着くという時いきなりアクシデントがあった。 なんと手押し車のタイヤが一輪外れてしまって前へ進めなくなってしまったのだ。
どうやらタイヤのネジが外れてしまったよう。 ふたりで必死になって捜したけれど見つからなくて途方に暮れる。 とにかく荷物を先に運ぼうと言うことになり手を貸したけれどとても重い。
ふとお大師堂の方を見ると人影が見えて、先客のお遍路さんが居るみたい。 走って呼びに行ったら顔なじみの長髪青年遍路さんだった。
何度も会っているのに名前を知らない。「ボク!早く手伝って」と叫んだ。 三人がかりでなんとか荷物を運び終える。それにしてもなんて大きな荷物だことか。
ほっとしたのもつかの間。モンダイは手押し車の修理だった。 ふと思い出したのは山里の職場のこと。どんなネジでもたいてい置いてある。
幸いなことに近くに自動車修理工場があるのでそこに行くことをすすめた。 お遍路さんは休む間もなく手押し車を持って行くことになった。
長髪青年遍路さんと、ここで良かったねと語り合った。 道中の何もないところでアクシデントがあったらほんとに困ったことだろう。
すると長髪遍路さんの様子が少し変。「俺、ここ出て行きます」と突然言い出す。 理由を聞くと昨夜もそのお遍路さんと同じ場所で泊まっていたのだそうだ。
なんかすごく苦手。もう一緒に寝たくないのだと言う。
どうして?それでは逃げ出すのと同じではないの? また会ったということはそれだけ縁が深いということじゃないの?
頭をたれてしゅんとしながら私のお説教を聞いてくれた長髪青年遍路さん。
どうしても苦手だったら狸寝入りをしていれば良いのよ。 何も話さなくていいし、無視したって誰も咎めたりしないのよ。
お大師さまがついていてくれるでしょ。もう一晩の辛抱だと思いましょう。
そんなやりとりのあとやっとうなずいてくれた長髪青年遍路さんであった。
さて今頃ふたりはどうしていることやら。 なんだか気になってしょうがない夜になってしまった。
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