雨風ともに強くまたもや嵐のようないちにち。 海が荒れているのだろう海鳴りが響き渡っていた。
少女の頃、海辺の町に住んでいたことがあった。 ごうごうと海が鳴ると胸がどきどきして眠れなかったり。 荒波が渦のようになって心をかき乱しているように感じた。
多感だった少女時代。今となっては遠い遠い昔話だけれど。
今日も川仕事はお休み。ゆっくりと骨休みをする。 雨音を聴きながらまったりと過ごすのもまた良いものだ。
夕方には雨も小降りになりぴちぴちちゃぷちゃぷと散歩に出掛ける。 雨に濡れた緑がいっそうと濃くなり、雨粒が真珠のように光っていた。
川は濁流。清流も雨には勝てない。それがありのままの姿だった。 けれども少しも嘆いてはいないように海を目指してひたすら流れる。
「ありのまま」とはきっとそういうことだろう。
いつも綺麗にいつも穏やかにとは誰も押し付けることなど出来ない。
お大師堂から帰り、今度は犬小屋にこもっているあんずを誘う。 晴れている日はすぐに飛び出して来るのに今日はなかなか出て来ない。 やっと顔を出した彼女はいかにもめんどくさそうにのそのそと出て来た。 おしっこは?うんちは?と訊いているのに「どうでも良いわ」の顔だった。
傘をさし掛けてあげて濡れた道をとぼととぼと歩く。 いきなりぴょんと飛び越えたと思ったら、そこには白つめ草の花。 踏んづけては可哀想と彼女も思ったのだろうか。 偶然だったかもしれないけれどそれがとても嬉しく思えてならなかった。
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