三月も残り少なくなったというのに寒い朝。 遠ざかっていた冬が忘れ物をしていたのかもしれない。
それはきっと届けてはあげられないものなのだろう。 そんな冬の姿をそっと優しく受け止めている春であった。
いつものようにお大師堂に向かう道。 風がとても冷たいけれど陽射しは春の匂いがする。 土手にあがれば川面がきらきらと光って眩しかった。
じぶんがそこに立っている。ふと不思議な気持ちになることがある。 生きているんだなってすごく感じる。それはやはり奇蹟のようなこと。
若い頃には思いもしなかったこと。年を重ねるとはそういうことだろうか。 今ある命が愛しくてならない。失いたくはないと欲のように思ったりする。
ほんの少しの身体の不調に怯えながらも、平穏無事のなんとありがたいことか。 なんだか毎日ごほうびをもらっているような気がしてならなかった。
ありがとうございました。手を合わすたびに胸が熱くなる。
あしたはあしたの風が吹くという。どんなに冷たくてもかまわない。
わたしのこころはほっこりと春。そのこころに桜の花を咲かせましょう。
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