朝の気温が氷点下になり真冬並みの寒さになった。 冬の最後のあがきであろう。なんだかゆるしてあげたくなる。
そんな寒さのなか庭に野スミレの花が咲く。 土手から種が飛んできていたのだろう。 コンクリート塀の隙間にしっかりと生きている。
冬のあいだろくに手入れもしなかった庭。 気がつけば紫陽花の新芽も芽吹いてきていた。
どんなに寒くても確かな春がそこにある。
それは希望のようなこと。心がほっとあたたかくなる。

このところずっと食欲のない彼。 そのせいか倦怠感が日に日に増しているようだった。 「何も食べなくていいから一日中寝ていたい」と今朝はつぶやく。
そのくせ川仕事は休まないと言って毎日頑張っている。 無理をしているのがわかるだけになんとも可哀想でならない。
そんな彼が今夜は「大根おろし」が食べたいと言ってくれた。 良かった。ひとつでも食べたい物があってすごくすごくほっとする。
さっそく大根をすりおろす。玉葱ではないのに涙が出そうだった。
「うん、うまいな」なんと嬉しい一言だろう。
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